ビッグモーターに続き保険金不正請求疑惑のガリバー 東京海上が指摘する「火消しリリースの矛盾点」
ビッグモーターから大手の同業者に飛び火している保険金不正請求問題。中古車買取販売大手のガリバー(経営は株式会社IDOM)は本当に「シロ」なのだろうか――。 【内部写真】何度見てもすごい…店舗を視察する兼重宏一前副社長「腕組み仁王立ち」の威圧感…! 筆者は10月31日、『現代ビジネス』でガリバーの保険金不正請求疑惑を報じた。その内容とは、ガリバーが複数の取引先損保から、保険金不正請求について調査を受けている可能性があるというものだった。しかし翌11月1日、ガリバーはその内容をほぼ否定。東京海上日動火災保険からのみ調査依頼を受けているとした上で、「3件の誤請求が確認された」というリリースを公表した。膨大にある保険金の支払いの中でたった3件なら、どこの会社でも起こりえる単純な手違いレベルのことで、不正疑惑はこれで収まるかに見えた。 しかしこの発表に異を唱える会社がある。なんと調査を依頼した当の本人である東京海上だ。東京海上はガリバーが公表したリリースに強い不信感を持っているという。 問題の前に、まずはガリバーが11月1日に出したリリースの内容を整理する。 ・‘23年9月4日に東京海上日動火災保険から全245件のうち、120件について点検依頼を受けました。 ・120件について両社で点検調査を行いました。 ・点検調査を実施した120件のうち、東京海上日動火災保険から再調査を依頼された8件について当社監査チームが調査を行いました。 ・再調査の結果、8件のうち3件で両社間の確認不足による誤請求(相違金額:4,450円、41,535円、740円)が確認されました。 上記の内容を要約すると、「ガリバーは東京海上と協力して不正請求がないを調査し、結果、3件の少額な事案が確認された」というものだ。しかし、これで疑惑が払拭されたわけではない。本誌が東京海上広報部へ取材を行ったところ、担当者は「一部認識が異なる」と語った。
本誌の取材に対し、東京海上の担当者こう言う。 「『点検調査を実施した120件のうち、東京海上日動火災保険から再調査を依頼された8件』という記述の『再調査を依頼された8件』という部分は当社の認識とは違います。当社が調査依頼している件数はあくまで120件で、8件に関しては再調査を依頼したものではなく、IDOM社側に優先的に確認を進めてほしい代表例としてお伝えしたものです」 さらに肝心の不正請求が行われた3件についても、次のように語る。 「『再調査の結果、8件のうち3件で両社間の確認不足による誤請求が確認されました』という記述も、両社間の確認不足による誤請求3件というのはIDOM社側の認識であり、当社として合意しているものではありません。(優先的に調査を依頼した8件のうち)3件以外は問題なかったという説明を受けておりますが、引き続き120件の調査結果の回答を求めていきます」(同前) つまり東京海上が依頼した120件すべてについては、不正請求の調査がまだ完了していないという見解なのだ。これに対して本誌がガリバーの広報に取材を申し込んだところ、 「当社が120件を点検調査したのち、改めて当該8件について東京海上社より整備・板金部門以外の人員による調査依頼(プレスリリースでは再調査と表現)があったことは事実です」 として東京海上の主張の一部を否定し、120件の調査は終えていると断言するのである。リリースで公表したのは再調査を依頼されたという8件分のみであり、120件すべての調査結果が公表されていないことに関しては、 「本件については、当社と東京海上社間で認識合わせを含めた協議中の内容となります。引き続き、2社間で協力して実態の解明と問題の解決に向けた取り組みを進め、必要な対応を行ってまいります。」 と回答。いかにも東京海上とは協力体制にあり、東京海上の意向で公表をしていないような物言いなのである。 結局のところガリバーの不正請求疑惑はまだ闇の中。しかし、東京海上はあくまでも白黒はっきりさせる姿勢だ。 「今回依頼している調査は’22年4月~‘23年7月の期間のものですが、まずは依頼している期間の回答をお待ちしているところです。なお、当社としては不正請求に対しては毅然と対応していきます」(東京海上の担当者) 多くの客を抱える大企業として、一刻も早く実態解明がなされることを望んでやまない。 取材・文:加藤久美子
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