圧倒的優位の松浦悠士はなぜ敗れた? 別線の波状攻撃で切り崩された中四国勢/高松競輪G3・決勝回顧
「入れ替わり立ち替わり」の激戦制した浅井康太
そして…僅差となった1着争いは、外の浅井選手に勝利の女神が微笑みました。惜しい2着が松浦選手で、3着に浅井選手マークから伸びた井上選手。まさに「入れ替わり立ち替わり」といった様相の激戦で、私も観戦していて手に汗を握りましたよ。有利と目される中四国勢の力を、他のラインが少しずつ削いでいって、最後の最後で逆転を果たしたといったレース結果。この優勝の味は、浅井選手にとっても格別だったでしょう。 ずっと脚を使わされるなかを中団から自力で捲っての優勝ですから、浅井選手の強さはまさに文句なし。東選手にブロックされた結果、一気に前を捲るのではなく松浦選手の後ろを追走するカタチになったのも、結果的によかったと思います。あのブロックがなかったら、最終3コーナーから松浦選手とのもがき合いになって、井上選手あたりが優勝していたかもしれませんよ。 さらにタラレバをいうならば、準決勝で犬伏選手を勝ち上がらせなかったことも、浅井選手の優勝につながっている。競輪という競技が「点ではなく線」であることを、改めて感じましたね。「町田選手にだけは負けたくない」とコメントしていた菊池選手も、結果はともかく気概は示した。地元・香川勢も、連係を外してからも挽回を期して必死に戦い、諦めない姿勢を最後まで見せていました。 強い相手がいるならば、その力を削ぐために「できるだけ嫌がることをする」というのが競輪の基本。菊池選手は初手から中四国勢のプランを崩し、さらに町田選手の脚を削って、松浦選手が早めに仕掛けざるをえない展開を作り出した。そして、東選手がラインを分断した。僅差の2着に終わった松浦選手は悔しかったでしょうが、あのタフな展開のなかで、やるべきことをやった上での結果だったと思います。