仙台育英・山口廉王、身長193cmから最速151キロ右肘手術乗り越え急成長/ピカイチ投手編
第106回全国高校野球選手権大会(8月7日開幕、甲子園)へ向けた地方大会の本格的な開幕を前に、日刊スポーツでは、この夏、全国の担当記者が推す注目選手を「ピカイチ」連載として全3回で紹介する。第1回「投手編」は、仙台育英(宮城)で急成長中の山口廉王(れお)投手(3年)。193センチの長身から投げ下ろす最速151キロの直球と豊富な変化球で、聖地デビューを目指す。 春の東北に、ひときわ輝きを放つ剛腕がいた。仙台育英の山口だ。ロッテ佐々木朗希投手(22)をほうふつとさせる左足を高く上げたフォームに、193センチの長身を生かしたダイナミックな投球で、最速151キロを記録。公式戦デビューの昨秋は2試合で防御率7点台だったが、一冬越えた今春は宮城大会で3試合に登板し、防御率0点台と抜群の安定感を見せた。突如光りだした才能に、視察に訪れたプロ野球のスカウト陣も目を見張った。 けがを乗り越え、急成長を遂げた。中学時代から違和感があった右肘は、高校入学後に手術が必要と判明。長期離脱を余儀なくされた。「体格を最大限に生かしたいと思い、足を高く上げることで球速アップを狙った」と中学時代に生み出した投球フォームは、患部への負担を考慮して、一時中断。リハビリ期間は肩周りのインナーマッスルや体幹強化などを中心に行い、2年春に本格復帰した。チームは22年夏から3季連続で甲子園に出場したが、ベンチ入りは遠かった。 冬の間に制球力と変化球の精度を磨くため、撮影した投球フォームの動画を5球ごとに確認した。足を高く上げる際に必要な体幹トレーニングを見直したことで、制球力が安定した。さらに、22年夏の全国制覇、23年春のセンバツ8強、同年夏の準優勝に貢献した1学年上のOB高橋煌稀(こうき)投手(早大1年)から助言を受けて、リリースの位置や握りを試行錯誤。ようやく、現在の投球スタイルが出来上がった。 宮城大会は6日に開幕。初戦は13日、松島-白石の勝者と対戦する。「どこが相手でもやることは変わらない。気を抜かず一戦必勝で戦いたい」。最後の夏。全力で右腕を振り、チームを3年連続の甲子園出場へ導く。【木村有優】 ◆山口廉王(やまぐち・れお)2006年(平18)5月14日生まれ、東京都大田区出身。都内の田柄二小1年で軟式野球を始め、宮城・高崎中では宮城北部シニアでプレーした。仙台育英に進学し2年秋の宮城大会地区予選で初のベンチ入り。3年春から背番号1。最速151キロ。スライダー、カーブ、フォークボールを操る。193センチ、95キロ。右投げ右打ち。 ■身長2メートルの剛腕 成長中の千葉学芸の右腕エース菊地ハルン投手(3年)が、初の甲子園優勝に導く。パキスタン人の父と日本人の母の間に生まれた。現在身長2メートルで「今も伸びています」と驚きの成長ぶり。長身から投げ下ろす最速149キロの直球とカーブが武器。初めての全国の舞台へ。今秋、プロ入りを目指す右腕は「自分の結果よりもチームの甲子園出場」と、燃える。 ■「完璧」を求める 前橋商(群馬)清水大暉投手(3年)は192センチの長身から投げ下ろす。指にかかってアウトローに決まった球は超高校級で、今秋ドラフト戦線でも上位候補に入りそうな勢いだ。目標は「2年連続で甲子園に出て、甲子園で勝つこと」。そのためにはセンバツ優勝の健大高崎をはじめ、県内にもライバルは多い。「球質も球速も内容も全て完璧に近い状態で迎えたいです」と鼻息は荒い。 ■昨夏の経験生かす 前年王者の198センチ右腕、立命館宇治(京都)十川奨己投手(3年)は昨夏の主戦経験を今夏に生かす。「去年、ペース配分を考えるようになった経験は大きい。夏はどうしても根性で投げてしまう。完全な状態で状況に合わせた投球を」。結束力で激戦区の京都制覇へ。「連覇ではなく、新しい気持ちで挑戦者として全員で同じ方向を向きたい」と言葉に力を込めた。 ■オリックス山下舜平大に憧れ 国内12球団注目のオリックス山下舜平大2世右腕、福岡大大濠・柴田獅子(れお)投手(3年)が89年以来の夏甲子園へけん引する。「尊敬する選手。高校から練習量が人一倍違い、取り組み方も勉強されてたみたいで160キロは一番すごい」と憧れるOBに負けじと、186センチから最速146キロ直球を投げ込む。夏は「150キロを意識し打者を圧倒したい」。主軸も務め、投打で暴れる。