犯罪被害給付金の増額改正案、3倍になるケースも 抜本見直し至らず
警察庁は25日、犯罪被害者等給付金支給法の施行令改正案をまとめた。殺人などの被害者の遺族に支給する遺族給付金について、基礎額を引き上げ、新たな加算の仕組みを設けて増額を図る。 例えば被害者が収入のない20歳未満の場合、親などに支払う遺族給付金は現在の320万円から1060万円に増える。 警察庁はパブリックコメントを行い、6月中の改正実施をめざす。実施日以降に起きた犯罪の被害が増額対象になる。 遺族や法律の専門家らによる有識者検討会が昨年8月から議論し、報告書を公表。警察庁は報告書の提言を踏まえ、給付金の引き上げ案をまとめた。検討会は民事訴訟での損害賠償額も見据え、水準の大幅引き上げに向け議論してきたが、現行制度を超える抜本的な見直しには至らず、「政府全体として引き続き検討すべきだ」とした。 遺族給付金は、被害者の事件当時の収入をもとに年齢層に応じた基礎額を出し、それに生計を同じくしていた遺族(生計維持関係遺族)の人数に応じた倍数をかけて算定している。このため死亡した被害者に収入がなかった場合、給付額が低くなる。 改正案では、被害者に生計維持関係遺族がいない場合の基礎額の最低額を、現在の3200~5300円から一律6400円に引き上げる。公害健康被害補償制度の遺族受給額と同水準にしたという。
朝日新聞社