ヴィム・ヴェンダース監督によるアートドキュメンタリー 映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』予告映像公開
ヴィム・ヴェンダースが監督を務めたドキュメンタリー、映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』の予告映像と新たな場面写真が公開された。 『PERFECT DAYS』で、役所広司に第76回カンヌ国際映画祭主演俳優賞をもたらし、第96回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされたことも記憶に新しい、ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース。 劇映画だけでなく、これまで『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』などのドキュメンタリーも手掛けてきたヴェンダース監督が本作で取り上げるのは、ドイツの暗黒の歴史を主題とした作品群で知られる芸術家、アンゼルム・キーファー。 アンゼルム・キーファーは、ナチスや戦争、神話などのテーマを、絵画、彫刻、建築など多彩な表現で壮大な世界を創造する、戦後ドイツを代表する芸術家。ヴェンダース監督と同じ、1945年生まれであり、初期の作品の中には、戦後ナチスの暗い歴史に目を背けようとする世論に反し、ナチス式の敬礼を揶揄する作品を作るなど“タブー”に挑戦する作家として美術界の反発を生みながらも注目を浴びる存在となった。1993年からは、フランスに拠点を移し、わらや生地を用いて、歴史、哲学、詩、聖書の世界を創作している。彼の作品に一貫しているのは戦後ドイツ、そして死に向き合ってきたことであり、“傷ついたもの”への鎮魂を捧げ続けている。 本作は、制作期間には2年の歳月を費やし、3D&6Kで撮影された。従来の3D映画のような飛び出すような仕掛けではなく、絵画や建築を、立体的で目の前に存在するかのような奥行きのある映像を再現。ドキュメンタリー作品において新しい可能性を追求した。ヴェンダース監督は「先入観を捨てて、この衝撃的なビジュアルをただ楽しんでもらいたい」と語る。 映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』は、2024年6月21日(金)より全国順次公開。
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