【解説】政治資金規正法改正案 強気の野党側、成立に向け“落とし所”は?
■パーティー券「10万と5万」の差…自民党議員にとって死活問題に?
鈴江キャスター 「まず、各党の案で気になったのは、パーティー券の公開基準です。いまは20万円超となっていますが、これを引き下げるという案の中で、自民党は10万円超、日本維新の会は5万円超となっています。10万と5万は、それほど違うものなのでしょうか?」 政治部官邸キャップ 平本典昭記者 「自民党議員を取材すると『雲泥の差』だと言っています。自民党では派閥のパーティーは禁止になりましたが、個人のパーティーは禁止されていません。ですので自民党議員としては、今後もパーティー券を売って政治活動の資金源としたい、というわけです」 「一方で、企業や個人など買う側からすると、名前が公開されるのを嫌がる人が多く、公開基準のギリギリ、いまであれば20万円を買う人が多いといいます。それが10万円、5万円となれば、購入額が減ってしまい、パーティー収入全体が減り、自民党議員にとっては死活問題になるというわけです」 「公開基準の差は5万円にみえるかもしれませんが、100社分となれば500万円にもなるわけです。ある自民党のベテラン議員は『10万円のラインがギリギリで、5万円になったら政治活動が厳しくなる』と話しています」 鈴江キャスター 「10万円、5万円の差がパーティー券購入のボーダーラインにもなりうるというところで、譲れないという話なのですね」
■岸田首相の打開策…ターゲットは日本維新の会
鈴江キャスター 「この協議は落とし所が見えない中、岸田首相はどう打開していく考えなのでしょうか?」 平本キャップ 「22日から法案審議がスタートしましたが、ある自民党幹部は『法案を成立させる落とし所が見えていない』と嘆いています。自民党は参議院では単独で過半数を持っていません。与党・公明党ともいま溝があるので、自民党はいま孤立してしまっています。ですので、他の党との協力が不可欠です」 「まず、野党第一党の立憲民主党ですが、ある立憲の国対幹部は『譲ることは絶対ない』と、交渉の余地すらなさそうです。そこで自民党が狙ったのが野党の切り崩し。ターゲットは、距離が近いとされる日本維新の会です」 「その戦略は次の通りです。維新はこれまで国会議員に月100万円支給される旧・文書通信交通滞在費いわゆる『文通費』の見直しに強くこだわってきました。岸田首相はこの『文通費』を見直すので、政治資金規正法改正で維新の協力を得ようと狙っていました」 「しかし、これがうまくいってないようです。維新の幹部は『協力の条件は、規正法の維新案を自民党が丸のみすることだ』と強気で、自民党のあては、いまの時点では外れてしまっているようです」 鈴江キャスター 「文通費以外すべて維新案を丸のみしてくれ、というのがいまの維新の主張?」 平本キャップ 「そうです。すべての案をのまなければ、細かい妥協では許さないぞ、というのが維新の姿勢です」