ハフィントンポスト日本版開設6カ月 松浦編集長「コメント数まだ足りない」
例えばアベノミクスが良い政策なのか、悪い政策なのか、ではなくて、ユーザーの興味を引き付ける記事や見出しであるかが重要。ただやり過ぎると「釣り」になってしまうので、やり過ぎている場合は指摘する。その辺りのバランスは見ている。コメントのまとめ記事についても、偏ったコメントしかなかったりしてバランスが悪かったら作成しない。
異色の経歴
《松浦氏は実に多彩な経歴の持ち主だ。理系出身だった松浦氏の最初の就職先は人工衛星のエンジニアだった。それからネットワークインフラの技術者の仕事に就き、ライブドア、ワイアード、グリーなどを渡り歩いた。ライブドアではブロゴスなどのサービス立ち上げに関わったが、必ずしも編集、とりわけニュース編集に深く関わってきたわけではないという》 ――――異色の経歴だが、編集に関わるようになった経緯は? 松浦編集長学生時代からパソコン通信があった。それをメディアとは意識していなかったが、インターネットには最初から触れていた。発信する楽しみ、交信する楽しみを感じていた。 ライブドアでも最初はシステム寄りのディレクターをしていたが、ポータルトップページのディレクターになり、漫画家を集めて「4コマ漫画コーナー」を立ち上げた。エンタメジャンルだが、これが最初の編集的な仕事。ただそれまで編集をやったことがなく、「読まれる作品が一番えらい」という感覚で、数字でしか良し悪しを考えられなかった。自分の編集的な主観に自信もなかったが、「面白い」と思って採用したものが一番読まれて一番人気の作品になった。それが自信になった。 自分では「ネットメディアのプロデューサー」だと思っている。全体を見て方向性を指示し、結果として上がってくる数字を見てこういう方向で書いてください、と指示することもある。
目指すメディア像は
――――最後に、これからどのようなメディアを目指すのか? 松浦編集長 プラットホームとしての立ち位置だが、ただ意見がたくさん集まっても、それだけでは何も起こらない。例えば、少子化問題で、森雅子少子化担当相にユーザーのコメントを持っていったことがある。このように、可視化されたネットの声を具体的なアクションにつなげていきたいと考えている。そうした声が、何かしら大臣の心に響くかもしれない。それで政策や世の中が変われば、という思いがある。