FRBが記者会見を増やす背景に、景気後退の足音?
6月連邦公開市場委員会(FOMC)では、ほぼ全ての市場参加者の予想通り政策金利(以下、FF金利)の引き上げが決定され、FF金利上限(以下、単にFF金利と表現)は2.0%へと引き上げられました。今後の金融市場を占ううえで、注目すべきは声明文の表現とFF金利の引き上げ計画です。
利上げの打ち止めに一歩近づく見方
声明文では「FF金利は当面の間、長期的に通常とみる水準を下回るだろう」とのフォワードガイダンス(≒政策の方針)が削除された一方、「金融政策は引き続き緩和的だ」とする現状認識の文言は維持されました。前者の削除はFF金利が中立金利(景気を良くも悪くもさせない金利)に近づきつつあるとの認識を示したと思われる一方、後者は中立金利まではまだ距離があるとの認識が読み取れます。これら文言の変更を「ハト」、「タカ」で分類することは難しいですが、やはりフォワードガイダンスが削除されたことは、中立金利までの距離が幾分詰まった印象を受けます。したがって、利上げの打ち止めに一歩近づいたとの見方から、ややハト派寄りと受け止めるのが妥当に思えます。 次にドットチャート。これは現在15名いる連邦準備制度理事会(FRB)メンバーのそれぞれFF金利の見通しを“点”で表したものです。これによると2018年は4回(年末値2.50% ※公表値に0.125%を足すことでFF金利上限になるよう調整)、19年は3回(3.25%)、20年は1回(3.50%)の利上げ計画が示されています。
水準は18年、19年がそれぞれ25bpの上方改定、20年(3.50%、2回→1回へ変更)と中立金利(2.875%)は変化がありませんでした。18年、19年の計画が合計7回(従来は6回)に変更されたことに注目するとタカ派的な印象がありますが、20年と中立金利が不変だったことは、結局のところ利上げの総合計回数が変わらないことを意味しますから、慎重な判断と言えるでしょう。