ひとつのアイテムに多くの人が携わっている 「YANYAN」が考えるニットの未来像とは?
ー通常サイクルより長いスパンでマーケット展開することのメリットや意義をどう感じていますか? Suzzie Chung: 私たちはトレンドが何かとか流行りの色なんかは、もちろんリサーチはしつつも、それをまったく気にはしていません。とにかく、自分たちが好きなモノを作るということにフォーカスしています。 Phyllis Chan: もちろん私たちは年齢的に若くはないので、トレンドを追いかけているだけではダメなんです。この年齢になると自分のクローゼットの中には、できるだけ長く着られる服を入れたいと考えます。 Suzzie Chung: 定番でクラシックなものや白いTシャツみたいにシンプルなものはもちろん長く着られると思いますが、それとは真逆かつ長く着られる服を生み出していくのが私たちの目指すところです。宝物みたいに大事に着てくれる服を作ってきたいのです。
今後はメンズコレクションも構想中
ー日本でもニットを楽しむ季節になりましたが、日本のユーザーに「YANYAN」のニットをどのように楽しんでほしいですか? Phyllis Chan: 今展開されている2023年の秋冬コレクションは、今までのコレクションの中でもかなり面白いものになっていると思います。 Suzzie Chung: “香港のファンキーなおばあちゃん”のルームウェアを感じさせるデザインがメインになっています。おばあちゃんになったら、誰がどう言おうと自分が着たいものを着ますよね。そういったヴァイブスを大事にしています。 Phyllis Chan: ユーザーには自分がハッピーになれるものを着てもらいたいですね。 ー例えば着物など日本特有の素材を使ったリメイクなどには興味がありますか? Phyllis Chan: 私たちは日本のファッションが大好きです。もちろんカルチャーも好きですし、矢沢あい先生による漫画の『ご近所物語』を読んで、日本にはファッションについて学ぶ学校があると知ったほどなんです。 Suzzie Chung: トラディショナルなことは自分たちが熟知していないと伝えてはいけないと思っています。私たちはアメリカで育っていて、他の国のカルチャーのトラディショナルな部分を表現するのが大変なことはわかっています。 だからそういうことをするときは、きちんとリサーチすることが必要だと思いますね。だから、まだ着物など日本に関するものには手を出せずにいます。 Phyllis Chan: 今後やらないわけでないけど、リサーチの時間が必要な分野ですね。 ー日本のマーケットをどうとらえていますか? Phyllis Chan: それは香港でもよくされる質問です(笑)。 Suzzie Chung: 日本のマーケットは香港の人たちがお手本にすべきもの。香港の人たちはシャイなので、日本の人たちが自由にファッションを楽しんでいるのを見て、すごく影響されています。だから日本のマーケットはかなり影響力があると思いますね。 Phyllis Chan: 日本に来て感じるのは、日本の人々はショッピングを楽しんでいるし、自分のことをハッピーにする買い物の仕方をしていると思います。それが自分たちのブランドのコンセプトとマッチしていると考えています。 ー香港の人々はシャイなんですか? Suzzie Chung: もちろん人間的にはシャイではありません(笑)。ただ、ファッションに関してはすごくシャイかな。 Phyllis Chan: 私たちが、自分たちのブランドを着て香港の街を歩いていると、“あの人たちの服装、大丈夫?”みたいな感じで見られます(笑)。だけど私は覚悟を決めているから、これでOKなんです! ー多くのファン獲得している「YANYAN」ですが、これから挑戦したいプロジェクトはありますか? Suzzie Chung: まだいつスタートするかは言えませんが、メンズのコレクションも頑張って作っています。いいものを作りたいので、すごく難しいですが、日々トライしています。もうすでに、ウィメンズのコレクションを男性の方も買ってくれているので、その人たちをがっかりさせたくないんです。ただ、すごいプレッシャーですね(笑)。