ひとつのアイテムに多くの人が携わっている 「YANYAN」が考えるニットの未来像とは?
ーブランド名の「YANYAN」の由来を教えて下さい。 Phyllis Chan: ロゴなどにも入っているんですが、漢字で「人(ひと)」が2人入っています。商品をただ見ただけでは、その服にどんな人が携わってきたか、誰もわからないで買い物をしています。ですが、ひとつのアイテムを作ることにも、いろいろな人が携わっている。それを伝えたかったんです。 Suzzie Chung: 広東語で「人人」と書くと「みんな、人々」という意味になります。このアイテムの背景には多くの人がいるんだよということを表現したかったんです。
何がサステナブルなのかは商品を買う人に委ねられている
ー「YANYAN」デザインのこだわりや洋服に込める思いを教えて下さい。 Suzzie Chung: 「YANYAN」の服を着ることによって自信が持てる、そして着ることで自分自身が楽しめるということが重要だと感じています。プロダクトを作っていくうえで、2つ大事なことがあります。ひとつは自分たちも心から楽しめる洋服を作ること、もうひとつは肌触りが心地よいことです ー着心地が大事ということで、ニットを中心にしている「YANYAN」の素材へのこだわりを教えて下さい。 Phyllis Chan: みんなが知っている事実として、生産過程で余ってしまった高級ヤーン(糸)を、いくつもの工場から買い取っているということがあると思います。 Suzzie Chung: 新しく材料を買いに行くのではなくて、残り物で何を料理するかを考えるのに似ています。そんな感覚で糸を選んでいるんですよ。 Phyllis Chan: 私たちの糸のストックの中には、自分たちが今まで買い取った糸もあるし、他のブランドが使って余った糸もあります。 Suzzie Chung: スコットランド産のラムズウールを使うこともありますが、それは完全に新しい糸です。高品質なニットを作るために、新しい糸を買い取るときもあります。ただ、自分たちのストックを必ず確かめてから、新たなものを買うようにしています。 Phyllis Chan: サステナブルな意識のある会社から糸を買うこともあり、また必要以上のものは買わないようにしています。コットンを買うときも、もちろんオーガニックコットンを選んでいます。糸を染色するときも、オーガニックダイを使っていますし、そういう部分ではこだわりを持っていますね。 ーニットのデザインは中国の伝統的な漢服からインスピレーションを得ているといわれていますが、具体的にはどういったものからアイディアを得ていますか? Suzzie Chung: 香港のネオン街の色彩や、昔から香港の建築で使われているミッドセンチュリーなタイルの柄からもインスピレーションを受けます。中国に昔から伝わる神話や、その物語を描いた絵巻物からもいろいろと感じ取ることがありますね。 Phyllis Chan: たとえば、西遊記に出てくる觔斗雲を知っているから、日本でも同じ雲として認識される柄も、欧米圏では“雲”として認識されなかったりもするのは面白いですよ(笑)。