なぜ大谷翔平はオーバーランの走塁ミスを犯したのか?
ドジャースの本拠地開幕戦(日本時間29日、対カージナルス)で大谷翔平(29)が珍しいボーンヘッドを犯した。1回無死一塁からライト線に二塁打を放ったが、二塁をオーバーランしてアウトになったのだ。チームは7-1で快勝したが、僅差のゲームであれば、命取りになったプレー。なぜ大谷の走塁ミスは生まれたのか? 【全文掲載】大谷翔平が水原一平氏の解雇と野球賭博の借金肩代わり疑惑に答える
歓声がタメ息に変わる。 1回無死一塁で、ドジャースタジアムで初めての打席に立った大谷は5万を超える大観衆に温かい拍手で迎えられた。カージナルス先発の元巨人のマイコラスが外角に投じた変化球を引っ張った打球はライト線を抜けた。一塁走者のベッツは三塁でストップしたが、なんと大谷は、二塁ベースを大きくオーバーランして挟殺プレーでアウトとなったのだ。ただベッツを三塁へ進め、続くフリーマンがライト前へタイムリーを放ち、チームの先制点には貢献した。 その回が終わると、大谷はベンチで、コーチ、一塁走者だったベッツらを交えて緊急ミーティングを行いミスの原因が確認された。 大谷は、試合後「僕がムーキー(ベッツ)の方に合わせないといけなかった。キャンプ中に、そのシチュエーションがなかったので、まず今日確認して、また次に修正したいなと思っています」と反省を口にした。 なぜ大谷はミスを犯してしまったのか。 ヤクルト、阪神、楽天などで故・野村克也氏の参謀としてコーチを務めていた松井優典氏は、「自分の後ろの打球なので、三塁コーチの指示に従ったのでしょう。古い話で恐縮ですが、南海時代に三塁コーチに入ったブレイザー氏がそうでしたが、メジャーの三塁コーチは伝統的にこういうケースでは両手を使って、一塁走者、打者走者の両方に指示を送ります。おそらく大谷が二塁を回るときに確認したジェスチャーは“回れ”だったのでしょう。そして、もうひとつ間違いが起きた理由としては、大谷の足が速すぎて、そのコーチのジェスチャーが間に合っていなかった可能性もあります。また大谷も初めてプレーする球場で、打球がどう転がり、走者がどう進むかの予測がつきにくかったのかも」と分析した。 大谷は、自分のスピードの感覚であれば、ベッツは本塁へ還っているだろうとの判断ミスを犯したのだろう。実際、ベッツは大谷に「君のスピードについていけないからスローダウンしてよ」と話しかけたという。 ただ三塁で無理をせずストップしたベッツの判断は正解。まだ無死で次打者がフリーマンなのだから無理をして本塁を狙う必要はなかった。 松井氏も、「そういう状況判断もできていなかったけれど、こういうケースでは、三塁コーチの指示を見るのではなく、後ろの走者は前の走者に合わせるのがセオリー。まず大谷は、そこができていなかった。それと、大谷のような足の速い走者は、たとえ後ろの打球であってもコーチに頼らずに自分で見て自分で判断すべきなんです。盗塁の世界記録を作った福本豊氏がそうだった」と解説した。 ロバーツ監督も前の走者に合わせる原則を口にした。 「彼はとても速く走ることができるが、自分の前にも走者がいることを理解しないとね」 これも新天地ゆえの洗礼とも言える。 MVP2度の二刀流スターも人間だったのだ。 ただおそらく大谷は二度と同じ過ちは犯さないだろう。
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