自転車の「ながらスマホ」など厳罰化、安全意識さらに 改正道交法施行、県内では7月に死亡事故
自転車の「ながらスマホ」などの罰則を強化した改正道交法が今月1日に施行された。「車社会」の本県でも専用レーンなどが設けられ、自転車を通学や通勤で使う人は少なくない。「酒気帯び運転」の罰則も新設された。利用のルールは大きく変わり、自動車やバイク同様、これまで以上の安全運転への意識が求められようになっている。 今回の法改正の背景には、スマートフォンを持つ人が増え、新型コロナウイルス禍を契機に、電車やバスを避け、自転車を使う人も多くなったことがあるという。「ながらスマホ」はスマホや携帯電話を持って通話したり、画面を注視したりする行為が対象だ。これまでは5万円以下の罰金だったが、改正法施行後は「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」に厳罰化。交通の危険を生じさせたと判断された場合、「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」となる。 自転車の飲酒運転も厳罰化された。これまでも道交法に「酒気を帯びて運転してはならない」との規定はあったが、罰則は酩酊(めいてい)しているなどの、酒酔い運転が対象。5年以下の懲役または100万円以下の罰金だった。ただ、飲酒運転は本県でも後を絶たないのが現状だ。
「側溝に倒れている」。今年7月20日朝、中山町の道路脇の水路に倒れている男性を見つけたと110番通報があった。70代の男性は溺死しており、飲酒後に自転車で帰宅途中に転落していた。自転車の飲酒運転は危険だが、違反行為であるとの認識は希薄になりがちだとの指摘もある。改正法では、酒酔い運転だけでなく、酒気帯び運転も罰則対象とし、自転車を提供した者も含め「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」。自動車などと同様に、同乗者と酒類の提供者も対象で「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」が課される。 県警交通企画課によると、自転車運転中の携帯電話使用に伴う事故は2019~23年に県内で9件発生している。本県では通学で自転車を利用する高校生が多く、事故のリスクも高い。改正法施行前の先月30日、山形市のJR山形駅では山形南高生徒会のメンバーと県警本部や山形署の担当者が啓発活動を展開した。生徒会長の2年冨樫悠太さん(17)は、「通学中にながら運転の高校生を見かけることがある。同じ高校生として呼びかけることで、意識が変わる人もいるはずだ」と話した。