BYDが東京工科自動車大学校で初の「EV特別講座」を開催。未来のメカニックたちに伝えたいことと狙いとは
座学と実車講義で学生たちも興味津々
学生たちにとって「社会に出てからプラスアルファとしての講習」という位置づけで行われた今回のEV特別講座。講師は、この自動車大学校の卒業生で、現在BYDオートジャパンで技術顧問を務める三上龍哉氏である。三上氏も「学校で学んでいることのもっと先のことを学べる機会」としてこの講義を組み立てており、この学校のことを知っているOBだからこその、親身になった講義の内容となっていた。 講義はまず座学として、BYDの紹介から始まった。1995年にバッテリーメーカーとして創業した若い会社でありながら、現在70万人の従業員を抱え、世界自動車販売台数ではトップ5に入っているという急成長ぶりを紹介。自動車部門だけではなく都市モビリティやエナジーストレージ事業、ITエレクトロニクスなど、グループ全体としては幅広い事業を行っている巨大な会社でもある。日本国内では、BYD製の公共バスが多く導入されているので、バスでBYDを知っている人も多いはず。そしてBYDオートジャパンは、2025年末までに国内100店舗を目指し、急速に日本国内でディーラーの展開を進めており、街中でその看板を見かけることも多くなっている。 学生たちの大半がEVに乗ったことがないため、続いてEVについての基礎知識を学ぶこととなる。EVとはどういう仕組みで動き、どういった構造を持つのか、BYDのEVを例に挙げながらICEV(内燃機関車両)との違いを示しつつ、整備士という視点からの内容も含め、非常にわかりやすくEVという乗り物をとらえることとなった。
ATTO 3とドルフィンの実車でレクチャー
続いて同校の3号館に場所を移動し、実車を使っての講義となった。今回この学校に持ち込まれたのはBYDのSUVモデルである「ATTO 3(アットスリー)」と「ドルフィン」の2台。教室内にはすでにボンネットを開け整備保護カバーがかけられた2台が学生たちを待ち受けている。実際にATTO 3にBYDの診断機を接続し、EVの故障診断の例を挙げながら、EVのさらなる解説が行われた。 その後にはこの2台のEVの見学の時間も設けられ、学生たちはこの最新EVの先進性を感じ取っていた。今後到来するであろう、EVがありふれた存在として身近にある社会での、新たなサービス業務の在り方などについて学ぶ機会ともなったようだ。 エンジン車とともに新たにHV、PHV、そしてBEVといった車両が次々と登場し、さらに各車両にセンサーやカメラなどのADAS(先進運転支援システム)が搭載されていくなど、急速に変革していく自動車業界。それを下支えする整備士に求められるものはさらに広く深くなっていく。彼らが今後ユーザーの強い味方になってくれることを期待したい。