データ偽造が証明されたロシア軍防空兵器、欧米最新ミサイルに対応できず
■ 4.F-16配備でロシアの防空兵器は前線近くに ロシアは、広い国土のすべての防空、特にモスクワやサンクトペテルブルクなどのロシアの主要都市の防空、ブーチン大統領の居住地(別荘を含む)、クリミア大橋などの重要インフラの防空、地上軍の最前線地域の防空の必要性がある。 ウクライナにF-16が供給されると、ロシアの防空態勢はどう変わるか。 ロシアは、ウクライナに供給されるF-16が作戦行動する前に、この戦闘機を撃墜するために、防空兵器をなるべく前方に移動させて、ウクライナ領域内で行動するF-16を撃墜する準備をするだろう。 まずは、ロシア国内の防空ミサイルをこれまで以上に集め、その多くを前方に配置して、F-16撃墜に努めるであろう。 防空兵器を製造するには、多くの電子部品が必要になる。そして、多くの時間も必要である。 旧型の防空ミサイルから部品を取り出して、新型のものに入れ替えることもできない。あるいは、旧式のものを保管庫から取り出して、改修し、使用することもできない。 なぜなら、旧式の兵器の部品と新型の部品とは、性能も形も異なるからである。
■ 5.ロシア軍防空ミサイルは格好の餌食に 今後、作戦行動するF-16の撃墜を狙って、ロシアの防空ミサイルをできるかぎり前方に配置することになるであろう。 そうなれば、米国の偵察衛星や電子戦機に、あるいはウクライナのドローンや対レーダーミサイルを装備している戦闘機に発見されやすくなる。 防空ミサイルは発見されれば、比較的遠距離の防空ミサイルは、長距離精密誘導ロケットのHIMARS(High Mobility Artillery Rocket System=高機動ロケット砲システム)や誘導砲弾で、さらに遠く離れた防空ミサイルは、ストームシャドウで破壊される。 ウクライナは、F-16戦闘機の行動を容易にするため、ロシア防空兵器を重点的に破壊してくるだろう。 ウクライナにとって有利な情報がある。 米欧諸国はこれまで、供与した兵器をウクライナ国内で使用することに制限をかけてきたが、最近、国ごとに違いはあるが、ロシア領土内を攻撃する兵器に対しても攻撃してもよい、あるいはどのように使うかはウクライナの判断によるという意思も示している。 ロシア領土からウクライナ上空を射撃する防空兵器についても、「攻撃できる」と認めることになるだろう。 ウクライナの攻撃範囲がロシア領土にまで広がれば、ロシアにとってかなり不利になる。