刺繍作家Junoさんのワークショップも!“海の京都”でアートに触れる久美浜芸術祭「久美浜のゆめ」
京都駅から北へ2~3時間。日本海に面した小さな町、久美浜で、10月19日(土)、20日(日)の2日間、第1回久美浜芸術祭が開催される。手作りの芸術祭を立ち上げた発起人のひとり、須田悦子さんに話を聞いた 【写真】風光明媚な久美浜の地
ひっそりと息づく景勝の地「久美浜」
京都府は大きい。京都観光といえば、ほとんどが京都市内への観光であり、有名な観光名所である天橋立が京都府であることを知らない人も多いのでは。久美浜を知っていますか? 日本海に面した丹後半島の南、海の京都と呼ばれる京丹後市の、風光明媚なエリアにある静かな町だ。海の幸、様々なフルーツなど豊かな食材にも恵まれる地だ。 20年前、久美浜に魅せられ、移住した須田悦子さん。現在は、ウォーターサイドコテージ「Heron(ヘロン)」のオーナーとしてこの地に暮らし、働く。その職歴は異色で、関西の情報誌の元編集長を経て、アパレル会社へ。そこで店舗開発と雑貨仕入れを担当していたとき、久美浜に魅了され、この地にホテルを建てたいというオーナーの思いを受け容れて、素人設計でホテル運営の最初の一歩を踏み出した。 そのホテルに約15年間携わった後、独立。全2部屋の小さな宿「ウオーターサイド コテージ ヘロン」を建てた。庭で育てた野菜や地元の魚介類を使って手料理を振るまい、ゲストをもてなしている。久美浜に住む友達の家に遊びに来ているような、気を張らずに過ごせるコージーな空間が心地よく、知る人ぞ知る人気の宿となっている。
「文化で町づくり、人づくり」第1回久美浜芸術祭
かつては城下町として栄え、その名残が今も偏在し、趣を醸す久美浜。さかのぼれば日本最古の辞典『倭名類聚抄』にも記されてており、豊かな歴史を育んできた場所だ。だがここも過疎化が進み、空き家や空き店舗も増えてきた。 「こんなに素晴らしい土地なのに、地元の人は灯台下暗しなのか、“何もない場所”と謙遜しがち。この魅力を知らない人が多いのはもったいない」。須田さんと、「ヘロン」の常連客の石川あるさんは意気投合し、「若い世代にも久美浜の魅力を伝える機会を作ろう」と一念発起。旅行好きで、たまたま目にした「ヘロン」の写真に惹かれて訪れ、「一目でこの地に恋をした」と言う石川さんは、東京・西荻窪でギャラリー「ニヒル牛」を営む。ふたりは、地元の文化人や、「ニヒル牛」に作品を置くアーティストに協力を仰ぎ、アートイベント“第1回久美浜芸術祭「久美浜のゆめ」”を企画するに至った。