“1cm”の土の厚さができるのに「約500年」必要!?「土」を大切にすることで“食品ロス”につながる!? 東京農大・入江満美准教授が解説
◆お茶の栽培で“コーヒー粕”が大活躍!?
続いて、入江准教授がおこなっているユニークな研究を紹介。それは「コーヒー粕を活用したお茶の栽培」です。この研究をおこなっている経緯について、「緑茶はたくさんの肥料を欲しがる作物でありながら(栄養成分を)たくさん取りこぼしてしまうことが分かっています」と入江准教授。 例えば、窒素肥料を100入れたとしても、そのうち緑茶が吸収できるのは20~30程度だそうで「植物が吸えなかったものは、雨が降ると流れていきますし、(取りこぼす量が)多すぎると、ガス化してN₂O(亜酸化窒素)というガスになって抜けてしまいます」と説明。 そこで、入江准教授が着目したのが「コーヒー粕」です。コーヒー粕は、炭のように穴がたくさん空いている構造をしており、なおかつ吸着する能力があるため、「漏れたガスが多いときや茶葉の根っこがまだ伸びていないときに、コーヒー粕に栄養成分を蓄えておいてもらって、根っこが伸びてきたタイミングで植物に栄養成分を与えてくれる」と解説。また、コーヒー粕は、私たちがほぼ口に入れることがないうえに、熱水で抽出した後にできるものなので「むしろ綺麗なんです」とも。 現在は焼却処分されることがほとんどのコーヒー粕ですが、「保水性もあるので、土壌水分を測ると、コーヒー粕を取り入れているところは水分が多いんです。また、地下に漏れる水に含まれる窒素量も減るということが確認できています。コーヒーの消費量は世界的にも伸びているので、これをうまく使えたらいいなと思っています」と期待を寄せていました。 * 3週に渡る入江准教授とのトークを振り返り、川瀬は「私たちは“土”という貴重な資源を使って、CO₂排出をしながら作られた農作物を食べているとしたら、本当に無駄にできないですよね。皆さんも、食品ロスについて考えることもあるかと思いますが、入江先生の“土から考える”というのは、本当に考え方がガラッと変わるお話でした」と感じ入った様子。 さらに、入江准教授が取り組む研究については、「“コーヒー粕がお茶を育てる”って、聞けば聞くほど不思議な話ですけど、これは楽しみな研究ですし、期待したいですね」と話していました。 (TOKYO FM「あぐりずむ」2024年3月5日(火)、3月12日(火)、3月19日(火)放送より)