政見放送で「政府転覆」主張 元祖・異色候補が見る乱立の東京都知事選
■面白さ、はき違えている
「結局、日本ではきちんと(自分の主張が)伝わらなかった。海外には伝わったんだけど」と笑う外山氏。実は、イギリスの人気女性アーティストで政治的メッセージを込めることでも有名なM・I・A(エム・アイ・エー)が、ライブで外山氏の政見放送を引用した映像を使用したことがある。
過去最多を大きく上回る候補者が出馬した今回の都知事選を、どう見ているのか。自身のX(旧ツイッター)のアカウントには「ワシのせいで申し訳ない」などと書き込んでいるが、これは外山氏流の皮肉と取った方がいい。話を聞いていると、何せ「民主主義と選挙制度の破壊」を今も本気で目指しているのだ。
「話したことは、すべて自分が本気で思っていること」。外山氏は、自身の政見放送をこう振り返り、インターネットを含む各種の収益をも見込んだ売名ともとれる立候補が乱立する現状には冷たい。その上で、「面白いをはき違えているのではないか」と批判する。
また昨今の政治家にも「演説が下手だ。私に演説の手法を相談しなければならないと思うのだが、誰も来ない」と手厳しい。
■本質は変わらず
今回の都知事選には、外山氏の自宅に居候(外山氏いわく「食客」)をしていたという男性が立候補している。その候補のポスター枠では現在、外山氏の政治的メッセージを伝えるポスターの掲示が始まっている。
その内容は「選挙に出るような非常識な人に政治が任せられるでしょうか?」。あれから約17年、やはり本質は変わっていないようだ。(大泉晋之助)