『離婚後夜』久保田紗友、モラハラの果てに“サレ妻”「夫から言われるセリフは結構しんどい」
4000万PV(2024年8月時点)を突破した人気作品『離婚後夜』が、ABCテレビのクール・ドラマL枠でドラマ化(ABCテレビ2024年10月13日〈日〉~毎週日曜深夜0時10分放送、テレビ朝日2024年10月12日〈土〉~毎週土曜深夜2時30分放送。放送後、TVer、FODで見逃し配信あり)される。一途な恋心を描くピュアなラブストーリーで多くのファンを魅了し続けている作品だ。地上波連続ドラマ初主演となる佐野晶哉(Aぇ! Group)が、主人公の宝条伊織を演じることでも話題を集めている。 【写真あり】ドラマ『離婚後夜』に出演する久保田紗友 物語は小さなカフェでバイトをしている大企業の御曹司で大学3年生の伊織が、カフェの常連客で小説家の金織香帆(久保田紗友)に惹かれ、“初めての恋心”を抱くことから始まる。一方の香帆は、高校の同級生である夫・金織真也(長谷川慎・THE RAMPAGE)からのモラハラを受けながらも結婚生活を続けていたが、夫の不倫現場を目撃して離婚を決意。伊織と香帆の一時的な同居生活がスタートし…という“離婚後夜”から始まるラブストーリーだ。 ヒロインの香帆を演じる久保田紗友に、今回のドラマの見どころのほか、女優を目指したきっかけや最近ハマっている趣味まで等身大の話を聞いた。 北海道・札幌市で育った久保田は、小学生のころから「テレビに出てみたい」という夢を抱いていたという。 「エンタメに関わることは何だろうな、と小学生なりに考えて、歌やダンスを習っていました。最初はダンスをやっているとワクワクしていたんですが、演技レッスンを重ねていく中で、まわりに負けたくないという思いがどんどん強くなっていって、気がついたら夢中になっていました」 オーディションを受けたことがきっかけで現在の事務所に所属。初めて芝居で「悔しい」と思ったのが、中学3年生のときに受けた大規模なオーディションだった。 「この業界にいる中学3年生から高校2年生までが集まった映画のオーディションでした。オーディションの期間が長かったので、今、活躍している同年代の役者のコたちも多く、出会いもたくさんありました。私は結局、合格できなかったんですが、このときにもっと頑張りたいと強く思って。お芝居は自分の経験をもとに表現することもできるし、まったく経験のないことを演じなければいけない瞬間もあります。そんな魅力に魅了されていったんだと思います」 高校入学と同時に東京へ移り住み、本格的に活動を始める。だがここまで、すべてが順風満帆だったわけではない。 「上京したばかりのころはお仕事がなくて。芸能の高校だったので、お仕事で学校を休むコが多かったんです。毎日学校へ通っていることに劣等感みたいなものを感じて、すごく悔しかったですね。自分でも大変な仕事に就いてしまったなと思うこともあります(笑)。でもまわりの役者仲間を見ていると、この人たちと一緒に頑張りたいなって思わせられるし、この中にいたいなって思うんですよね。そこが私の活力になっています」 そんな彼女が女優として大事にしているのは、まわりの環境を大切にすることだという。 「『髪切りましたね』なんていう、他愛もない話からでもいいんです。コミュニケーションを取ることでお互いがお互いのために頑張りたいとシンプルに思うというか。役の解釈も自分の中だけでとどまらせずに、監督と密に話すようにしています。コミュニケーションを密に取ることが結果として、いい作品に繋がると思うんです。今はそこをいちばん大切にしていますね」 彼女のイメージといえば、凛とした表情が印象的なクールビューティー。そう見られることは多いかと聞くと「もう言われすぎちゃって慣れちゃいました」と屈託なく笑う。 「顔つきが結構強い感じだと思うので、話しかけづらいと思われたり、物静かで多くは語らないと思われるみたいです(笑)。もっと素の私を知ってもらいなって思います」 素の久保田紗友は普通の24歳の女性。最近、彼女がプライベートでハマっていることを聞けば、それがよくわかる。 「最近、友達と『モーニングをする会』を始めたんです。朝8時にお店に集合してモーニングをします。私はコーヒーが大好きなので、美味しいコーヒーと朝食を食べながら、気の置けない友達と心地良い時間を過ごす。優雅な時間の使い方だなって思います。オフの日は、つい昼過ぎまで寝てしまうことも多いので、朝に約束を入れるとそれも防げていいんです(笑)」 オフの日は優雅な時間を過ごしてリフレッシュしている彼女だが、今回演じる金織香帆は、いわゆる“サレ妻”。夫からモラハラを受け、不倫までされて離婚を決意する妻だ。 「『離婚後夜』というタイトルを聞いたときは、ちょっとオトナの匂いのするディープなドラマかと思ったんですが、原作を読み始めたら全く違う内容で。自分がどんな過去を持っていても、新しい選択をする権利はみんなにあるんだよ、とめちゃめちゃ背中を押してくれるようなきれいなお話なんです。演じる香帆はおしとやかで品があって、丁寧な暮らしをしている柔らかい雰囲気を持った女性。今まで演じてきた役柄にはないタイプなので、未知の世界に行くみたいで、純粋にすごく楽しみです」 香帆は夫からモラハラを受ける妻。台本を読んでみて「これは許せない!」と思ったことは? 「雑に扱われている感じがちょっと許せないというか。離婚しようと切り出すまでの流れのシーンで香帆が夫から言われるセリフは結構しんどいなって。私だったら、同じ熱量でぶつかっちゃうと思います(笑)」 久保田がもうひとつ注目してほしいというのが撮影のカメラワークだという。 「佐藤快磨監督、川和田恵真監督、多賀公英監督の3人の監督は映画をメインに撮られていて、今回、初めてドラマを撮られるんです。引きの画作りが多くてドラマっぽくないと思うんですよね。新しい深夜ドラマの形というか、画作りが美しいので、ドラマがちょっと苦手な方でも見やすいかもしれません。新しい視点から撮っていただいていると思うので、ぜひ視聴者の皆さんも楽しんでいただけたらと思います」 ドラマでは伊織と香帆がピュアなラブストーリーを展開していくが、実生活で彼女自身が思わずキュンとしてしまう男性の仕草や行動を聞いてみると「ムズい!」と笑ったあとで、こう答えてくれた。 「好きな人に扉を開けてもらうとか、エスカレーターに先に乗せてくれるとか、思いやりの先にある些細な行動が嬉しいなって。大きなプレゼントをもらいたいとかそういうことではなくて、さりげないその人の優しさが滲み出るような行動に惹かれますね」 ちょっと恥ずかしそうに話す久保田に、これから演じてみたい役を聞いてみた。 「これもまた未知の世界なんですが、母親役をやってみたいです(笑)。以前、出演させていただいた朝ドラの『べっぴんさん』(2017年、NHK)で、ジャズ喫茶で働く山本五月という役を演じたときに、出産シーンをやらせていただいたんです。そのとき私はまだ16歳。今なら当時より経験も重ねましたし、まわりにお子さんがいる友だちもいるので、リアルに演じられる気がするんです。自分が出産する立場になったらどうなるんだろうというのも純粋に気になって、演じてみたいなって思います。あとは正義感溢れる検事役にも挑戦してみたいですね」 『離婚後夜』で、これまで演じたことのないおしとやかで柔らかな女性を演じる久保田紗友。“未知の世界”をまたひとつ広げていく。 くぼたさゆ 2000年1月18日生まれ 北海道出身 連続テレビ小説『べっぴんさん』(2017年、NHK)、『過保護のカホコ』(2017年、日本テレビ系)、『この世界の片隅に』(2018年、TBS系)などの話題作に出演し注目を集める。その後、『ホリミヤ』(2021年、MBS系)、『フェルマーの料理』(2023年、TBS系)、『私をもらって』(2024年、日本テレビ系)などに出演。2025年1月スタートの大河ドラマ『『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』では最高級の遊女・松の井を演じる。 写真・木村哲夫 スタイリスト・小川未久 ヘアメイク・ナライユミ 衣装・iRENE、LE CIEL BLEU、IF8、チャールズ&キース