これまでの流れとは違った日本馬の凱旋門賞挑戦 デビュー前から計画されていた印象は”世界の矢作師”だからこそ【競馬】
◇記者コラム「ターフビジョン」 今年の凱旋門賞も日本の競馬ファンには、残念な結果に終わった。しかし今年の挑戦は、これまでの流れとは少し変わった印象を受ける。 従来は日本である程度、活躍してから挑戦していくのが普通であったが、シンエンペラーの場合はデビュー前から計画されていたという印象が強い。 日本での実績は重賞勝ちが京都2歳Sのみ。日本ダービー3着、弥生賞ディープインパクト記念2着と、同世代ではトップクラスの1頭とはいえ、これまでならG1を勝った馬が遠征するのが普通だろう。それでも挑戦したのは、世界の競馬を知り尽くす矢作師だからこそと思ってしまう。まず同馬は外国のセールで購入されて、その全兄のソットサスが凱旋門賞の勝ち馬。先々の挑戦を見据えて、購入したと考えると、今回はまず夢物語の第一章を無事に済ませたという印象を受ける。 シンエンペラーは、レース内容、血統的なものを考えても、まだまだ成長する馬だと思っている。そして矢作師の海外挑戦は、日本のどの調教師よりも積極的で、結果も出している。この先、凱旋門賞やケンタッキーダービーなどで、偉業を達成するなら同師の可能性は相当高そう。本当に応援していきたい競馬界の偉人だ。 (米内宏一郎)
中日スポーツ