滋賀の古豪公立校を支える元日本ハム選手「フィットネスやヨガを取り入れた異例の練習」を行う理由
元プロ野球選手ながら、フィットネストレーニングを取り入れたきっかけ
これまで岡山が拠点だった下田さんが滋賀に拠点を移したのは、本業の転勤がきっかけ。 滋賀に移住してからは小学生対象の野球教室を10年ほど行ってきた。その中で大津商の教員からの紹介があり、10年ほど前から大津商の指導に携わっている。 「プロ出身だからと言ってプロのものを教えても伝わらないので、高校生に合った言葉を心掛けています。今の子どもたちは吸収したい気持ちが強いので、我々の価値観ではなく、子どもたちに合うようにいろんなものを用意しながら、見極めていきたいと思っています」と高校生の目線に降りて指導することを意識しているという。「人脈もありますし、色々研究もされています。ただ、私を立てて下さっていますし、監督を超えての指導はされませんので、とても心強い存在です」と田中 正春監督も信頼を置いている。 選手からの評判も良く、中堅手のレギュラーである西江 智紀(2年)は「日頃教えてもらっていることが野球につながることばかり。自分が取り入れたら必ず上手くなると思って、言われたことを必ずやるようにしています」と話している。 研究熱心な下田さんは最適なトレーニングを探るべく、自らジムに通って様々なことを試した。その中でフィットネスインストラクターとしてダンスのレッスンを行っていた桑名 サチ子さんに大津商への指導を依頼。約1年半前から週に1回のペースでダンスを通じた体幹トレーニングを桑名さんの指導の下で行っている。 「骨格可動域や柔軟性は皆さん違うので、それぞれできる範囲を広げたいと思っています。野球の練習以外の部分で使える筋肉を増やすことが野球につながるといったものを考えています。野球のボールはどこに飛んでくるかわからないので、そういった時に俊敏に体が反応できるように運動効率を上げるレッスンを考えています」と桑名さんはダンスレッスンの狙いとその効果について語ってくれた。 またヨガ指導も取り入れており、指導する吉田さんに目的について伺うと「野球選手は、利き腕の使い過ぎなど、同じ動作を繰り返すことで、可動域が狭くなったり、左右のアンバランスを引き起こしやすい。それが故障の原因となったり、お尻、太ももが硬くなりやすく、腰痛を招くことも多いんです。ヨガは右も左もバランスよく動かすので、ケガの防止や、プレーにキレが出るようになったり、体幹トレーニングや、柔軟性を高める効果もあります」と故障防止のためには大きなトレーニングとなっている。