少子化、2030年までに 「改善しない」83% 政府の対策、問われる実効性 福島県内首長アンケート
政府が「地方創生」を打ち出してから10年に合わせ、共同通信社は全国の都道府県知事、市区町村長に人口減少に関するアンケートを実施した。過去最低となった2023(令和5)年の全国の合計特殊出生率1・20について、政府が「少子化傾向を反転させるラストチャンス」と位置付ける2030年までに改善すると思うかとの問いに対し、内堀雅雄知事と福島県内59市町村長の83・3%に当たる50人が「思わない」と答えた。地域間の人の取り合いになっているとの声があり、政府の少子化対策の実効性が問われる結果となった。 回答は【表・グラフ(1)】の通り。「どちらかといえばそう思わない」が33人(55・0%)、「そう思わない」は17人(28・3%)だった。 地方創生は2014(平成26)年に本格化した。自治体ごとに戦略を策定して移住受け入れや子育て環境の整備などを進め、政府は交付金で支援してきた。ただ、県内の市町村長からは厳しい声が上がる。会津美里町の杉山純一町長は「人口減少も東京一極集中もますます加速している。十分な検証もなされていない」と指摘。白河市の鈴木和夫市長は「自治体間の不毛な競争をあおるのではなく、人口減少を前提としたグランドビジョンを示し、中央政府の役割を果たす必要がある」と訴えた。
政府は今年6月、少子化対策関連法を成立させ、児童手当の拡充などで現金給付を大幅に増やした。只見町の渡部勇夫町長は「給付金だけではない施策を検討すべきだ」と注文した。北塩原村の遠藤和夫村長は「女性が結婚、出産、子育てに感じている負担感を解消するための対策が必要」と強調した。 この10年間で自分の自治体が実施してきた人口減少対策の効果も聞いた。回答は【表・グラフ(2)】の通りで、49人(81・7%)が不十分と答えた。理由は「自治体単独での対策には限界があった」が36人で最も多かった。南相馬市の門馬和夫市長は「地方が独自で取り組む人口減少対策には十分な財政支援を行ってほしい」と政府に求めた。 人口問題に詳しい福島大行政政策学類の岩崎由美子教授(社会計画論)は「人口減少の責任を自治体に押し付けるのではなく、国としての真剣な取り組みが求められる。自治体は住民の声を聞き、国に地域の実情を伝えるべきで、今こそ国と自治体の役割分担を明確にする必要がある」と指摘した。