「…そこまで私を抱きたくないの?」セックスレスに悩んだ夫婦が出した答えは「公認彼氏」を作ることだった【書評】
世の中には、どれぐらいのセックスレス夫婦がいるかをご存知だろうか? セックスレスの傾向があるとされる夫婦は実は約7割にも及ぶと言われている。加えてこれは世界的にも高い割合とされ、日本はいわゆるセックスレス大国なのだとか。 【漫画】本編を読む
セックスレスに悩んでいるすべての人にこそ読んで欲しいのが、『夫公認彼氏ができました セックスレスにとことん向き合った夫婦の13年レポ』(ハラユキ:著、みか・わかぴょん:原著/KADOKAWA)である。
とある1組の夫婦の、赤裸々なセックスレス事情に迫った本コミックエッセイ。本著の主人公となるのは、演劇活動を通して知り合い結婚した妻・みかと夫・わかぴょんである。 普段から共に楽しい時間を過ごせる仲良し夫婦であるふたり。しかしみかは夫であるわかぴょんに夜の行為をまったくと言ってよいほど求められないことに、次第に不満や不安を募らせていく。 一方のわかぴょんは、元々性的なことと向き合うのが苦手なタイプ。みかのことを女性・妻として魅力的だと自信を持って言える一方で、彼にとってセックスという行為だけが重荷になっていた。 その中でも互いに折り合いをつけ、どうにか待望の子どもを授かったふたり。だが夫婦の間にあった”セックスへの認識のズレ”は、それでもやはり埋まらない。 周囲からの様々な意見や助言を参考にしつつ、それぞれ相手に真摯に向き合いながら、ふたりはセックスレスという問題に向き合っていく。その過程を描いた作品だ。
本書を手に取った人の多くが抱く感想として、まず1番は「これまでに自分が触れたことのない価値観で、とにかく新鮮だった」という部分も大きいに違いない。 セックスレスと聞くと「子育てを始めた妻に夫が拒絶される」というイメージを抱く人もいることだろう。しかし実は今の時代、その逆である「性欲のない夫に拒否される妻」の数も決して少なくはない。 加えて本書で描かれた、セックスレスという問題に向き合ったふたりの取った選択もまた、「そんな風に考えていいんだ」「そんな解決方法を選んでもいいんだ」と。読んでいてさながら、“目から鱗”の気分を味わった人も大勢いるのではないだろうか。