小田凱人(車いすテニス)「弱気な自分をどうコントロールするか、これはスキルの問題です」────パリ五輪に挑むアスリートたち_Vol.4
世界ランキング1位を史上最年少となる17歳で達成した車いすテニスの小田凱人。「でっかいこと言って、でっかいことをする。それが俺の美学」と野心を隠さないパリ・パラリンピックのメダル候補は、夏の大一番を前に今何を思うのか? 【写真を見る】小田凱人がディオールを着こなす!
小田凱人「メンタルが強いわけじゃない」
助手席から降りてきた小田凱人は、車いすに頼らず杖を片手に歩き出す。左足には人工関節が入っており、長い距離の歩行は難しいというが、足取りは軽やかだ。歩行時にそれなりの不自由さは確認できるが、誰の手も借りずに階段を上って2階にあるメイクルームに向かった時には驚いた。「筋力の低下を防ぐためにも、普段は立って生活するようにしています」と、本人はリハビリを理由にあげるが、通底しているのはカッコいい自分でありたいという想い。とにかく、見え方、見られ方を強く意識している(ように見える)。 「GQに出たいということはマネージャーにも相談していたんです。動画の『10 Essentials』はいつも見ていて、10のアイテムはどれを紹介するか、イメトレはできています(笑)」 「無理をさせないように」と、どうしても遠慮がちになってしまう撮影スタッフに対して、自ら立ち方を提案する場面もあった。車いすにもたれかかるように佇む構図は、彼のアイデアだ。 「カッコいい服が着たかったり、カッコいい髪型にしてみたいとか、それだけです。プロとして、こうあるべきみたいなものではなくて」 ハンディキャップを理由に後退することを拒む17歳は、コートの内外を問わずポジティブだ。かつては車いすテニスの選手として、「障害のある子どもたちの憧れでありたい」と公言し、1月の全豪オープンを制した時には、「日本の子どもたちにこれからもいい姿を見せたい」とコメントした。 「グランドスラムの優勝とか、パラリンピック金メダルだけじゃなくて、もう1個目標が欲しかった。そんな時に『ヒーローになりたい』っていうフレ ーズが浮かんで。ハタチを越えていたら、違う目標が浮かんだかもしれませんが(笑)」