【高校サッカー選手権】勝ち上がるごとに一体感を高める日体大柏が前回王者の市船をPK戦の末に撃破!
11月3日、第103回全国高校サッカー選手権千葉予選の準決勝が行われ、市立船橋と日体大柏が激突した。 【フォトギャラリー】市立船橋 vs 日体大柏 ここ2年連続、県決勝で相まみえている両校。前々回は日体大柏が勝ったが、前回は市船が勝利しているので、日体大柏にとっては借りを返す機会でもあった。 「望んでいた対戦」 日体大柏の根引謙介監督は、胸中を明かしていた。 晴天に恵まれた準決勝は、1-1から20分ハーフの延長に突入したが、ともに決定打を奪いきれず、勝負の行方はPK戦に委ねられた。 先にけるのは日体大柏。2人目のキッカーが相手GKのセーブにあったものの、4人中3人が成功。一方、市船は、ひとり目のキッカーが確実に決めたが、その後、2人が連続で失敗し、土壇場に追い込まれる。そして、4人目のキッカーも日体大柏GK12早川ウワブライト(3年)に阻止され、この瞬間、PKスコア3-1で日体大柏のファイナル進出が決まった。 「PKのキッカーや順番はすべて選手たち任せました。チームとして今日まで取り組んできたことやこれまでの思いを乗せて、迷わずにけってくれればと思っていました」(根引監督) 勝利の立役者のひとり、GK早川は「PK戦になったとき、何とかチームを勝たせたいと思ったし、自分を信じてくれたみんなの気持ちが力になりました」と、会心の笑顔を見せた。日体大柏のひとり目のキッカーだったキャプテンのMF6加藤大雅(3年)がPKを成功させたあと、GK早川にすぐさま歩み寄り、自身のキャプテンマークを取って、彼の左腕に巻いた。「任せたぞ」というメッセージが込められていたし、それはつまり「信頼の証」でもあったのだろう。 10時30分にキックオフされた準決勝を、まず動かしたのは日体大柏だった。28分、MF23三橋賢人(2年)からのゴール前へのフィードに対し、FW14小泉ハーディ(2年)が素早く反応。市船GK1ギマラエス・ニコラス・ロドリゲス(3年)の鼻先でボールを突っつき、先手を取った。 だが、このままでは終わらない。53分に市船が追いつく。MF11渡部翔太(3年)からの絶妙クロスをFW9伊丹俊元(3年)がヘッドで仕留めた。試合を振り出しに戻し、その後も前回王者の気迫を見せ続け、日体大柏ゴールに迫っていく。 かたや勝ち上がるごとに一体感を高め、誰が出ても変わらず、戦う集団と化す日体大柏が難敵・市船に立ち向かう。時間の経過とともに足をけいれんさせる選手が増えるなど、我慢比べの様相を呈したが、前述のとおりPK戦の末、日体大柏に軍配が上がった。 11月9日、決勝の相手は“柏ダービー”となる流通経済大柏だ。市船に続き、U-18プレミアリーグ勢との対戦だが、「自分たちがやるべきプレーを、それぞれの特長や個性を出しながら、最初から最後までやり切るだけ」と、根引監督は意気込んだ。2年ぶり2回目の選手権出場に向け、あと1勝となった。 (写真・文=小室功)