黒岩彰氏ら輩出の嬬恋高、一般生徒も全国募集へ…スキー・スケート選手限定から拡大
生徒数の減少が目立つ群馬県嬬恋村の県立嬬恋高校が、来年度の入学からスキー・スケート選手に限定していた全国募集を一般生徒に拡大する。カリキュラムも改編し、地域と連携した教育や「探究」科目を充実させる。県内の公立高の約半数で今年度の入学者が定員を下回るなど各地で生徒数減少が課題となる中、改革が奏功するか注目されている。(桜木優樹)
スケート名門
同校で7月に開かれたオープンスクールで中学生25人と保護者に来年度からの改革を説明した桜井大也教諭は、最後にこう強調した。「嬬高が変わり、皆さんも嬬高で変わります」
同校は、1988年カルガリー五輪銅メダリストの黒岩彰副村長らオリンピアン6人を輩出したスケート名門校。2015年度にスケート選手の全国募集を始め、スキーも加えた今年度は県外から6人が入学した。
しかし生徒数は減り、10年前は46人いた入学者数は今年度は17人。地元中学生の村外進学も増え、嬬恋中から今年度入学した生徒は5人と10年前の5分の1だった。
二つの改革
これを受けて、同校は二つの改革に着手した。一つは全国募集の拡大で、財団「地域・教育魅力化プラットフォーム」(松江市)が提供する、全国から公立高校に留学する「地域みらい留学」制度に参画。財団が開く説明会で県外の中学生に学校の魅力をPRする。
同制度は近年、地方活性化につながると注目され、今年度の参加校は35道県145校に上る。きっかけは島根県立隠岐島前(どうぜん)高校の成功だ。2008年に全国募集を始めると、生徒数は08年度の89人から18年度は179人と倍増。地元の中学生の進学も増えた。財団の高橋洋平マネジャー(36)は「嬬恋は首都圏から近く地域資源も豊富」と、生徒数増加が期待できるとみる。
もう一つの改革が、主体的に挑戦する力を育む「探究」科目の拡充だ。「どうすれば村の良さを知ってもらえるか」などの疑問を自由に追究する内容で、来年度の入学者が2、3年生になるときには、現在の4倍の週4時間を割く。