ケンコバが明かす、越中詩郎45周年記念大会での場外乱闘の真相 直前に全日本の社長からの謎のひと言
【巻き込まれた場外乱闘の真相】 ――そして迎えたメインの試合は8人タッグマッチ。越中さんは、三冠王者の青柳優馬選手、新日本の田口隆祐選手、2AWの真霜拳號(けんご)選手と組んで、諏訪魔(すわま)選手、芦野祥太郎選手、黒潮TOKYOジャパン選手、立花誠吾選手と対戦しました。この試合で衝撃的な事件が起こりましたね。 「ありましたね(笑)」 ――試合序盤で、越中さんと諏訪魔選手が場外で乱闘。客席までなだれ込んだふたりは、ケンコバさんの目の前でやり合いました。次の瞬間、越中さんが諏訪魔選手を羽交い絞めにし、ケンコバさんがチョップ。会場は「ケンコバ!」コールの大合唱でしたが、あの乱闘の真相を教えてください。 「う~ん......(しばし沈黙し)あの真相ですか? 真相はちょっと......」 ――ぜひ、お願いします! 「......わかりました。読者のみなさんのために、話しておかないといけないでしょう。すべてを打ち明けます」 ――ありがとうございます。 「まず、俺は全日本さんが用意した南側の客席で見ていました。メインイベント終了後に越中さんの記念セレモニーがあったので、その準備のために、団体の方から『セミファイナルの段階でバックステージに移動してスタンバイをお願いします』と言われていたんです。 ところが、全日本の社長さんがいらっしゃって『ギリギリまでご覧になってください』と言うんですよ。それでメインイベントが始まったので、社長に『スタンバイします』と伝えてバックステージへ移動しようとしたら、謎のひと言が返ってきたんです」
――そのひと言とは? 「『まだ大丈夫です』と」 ――まだ大丈夫......ですか。 「急な予定変更です。『なんでだろう......』と一瞬戸惑いましたが、そもそも後楽園ホールは、スタンバイといってもすぐにバックステージに移動できますからね。『まだ余裕があるんだな』と納得して越中さんのファイトを堪能していたんです。そうしたら、越中さんと諏訪魔選手の場外乱闘が始まり、ふたりが南側の客席になだれ込んできて、俺の目の前で乱闘が繰り広げられたんです」 ――そして、チョップのシーンの流れになったと。 「俺は、『素人の自分が試合に介入するなんてありえない』と思っていたんですけど、越中さんが諏訪魔選手を羽交い絞めにして『ケンコバ、来い!』と言うので、いかざるを得ないと意を決してチョップさせていただきました」 ――越中さんに言われたら、行くしかないですね! 「社長が『まだ大丈夫です』と言ったのはこのためだったのかと、謎が解けました(笑)。それにしても諏訪魔選手の体はぶ厚くて、俺のチョップは跳ね返されました。さすがはトップレスラー。大会終了後に、バックステージで諏訪魔選手と出くわしたんですが、その時は無言でニヤリとされました(笑)。口角がだいぶ上がった、ビッグニヤリをいただきましたよ」 ――目と目で語り合う、まさにプロですね。 「ただ、あの記念大会では、もうひとつ事件があったんです。それは、会場のバックステージで起きました」 (後編:セレモニー前に起きた事件 天龍源一郎や藤波辰爾らとの会話で大困惑>>) 【プロフィール】ケンドーコバヤシ お笑い芸人。1972年7月4日生まれ、大阪府大阪市出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。1992年に大阪NSCに入学。『にけつッ‼』(読売テレビ)、『アメト――ク!』(テレビ朝日)など、多数のテレビ番組に出演。大のプロレス好きとしても知られ、芸名の由来はプロレスラーのケンドー・ナガサキ。
松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji