防犯意識が高い行動で警備サービス割引、積水ハウスなど 「闇バイト」横行で行動変容促す
積水ハウスと博報堂は22日、防犯意識の高い生活習慣を送る居住者には、警備大手ALSOK(アルソック)によるセキュリティーサービスの利用料金を割引する新たなサービスを始めると発表した。住居設備や家電がインターネットでつながる「スマートホーム」サービスを通じ、ドアの開錠時間の長さや開閉回数の多さなどを把握、防犯習慣を評価する。「闇バイト」強盗事件などが相次ぐ中で顧客の行動変容を促す。 新しいサービスの名称は「駆けつけホームセキュリティ」。12月13日から受け付けを開始する。積水ハウスによると、居住者の防犯習慣によって警備サービスの価格が変動する仕組みは世界初という。 新サービスを利用できるのは、同社の戸建て住宅対象サービス「プラットフォームハウスタッチ」を利用する約4100戸の居住者ら。今後はマンション購入者にも対象を拡大する。 同サービスはスマートフォンによる住宅設備の遠隔操作などが可能で、その記録はデータ(生活ログ)として蓄積される。うち窓や玄関ドアの開錠や開放の時間や回数などのデータを基に、居住者の防犯習慣を3段階で評価。通常は月額6160円(税込み)だが、防犯意識が最も高いとの判定を受けると5060円に減額される。 積水ハウスは博報堂と連携し、蓄積された膨大な生活ログについて、個人情報を削除した形でAI(人工知能)解析し、居住者の生活習慣や潜在意識(行動の源泉)の〝見える化〟を進めている。 今回は居住者の実際の行動と、アンケートなどで得た防犯意識とを照らし合わせたところ、自身では防犯意識が高いと回答した人でも、ドアの施錠を忘れる回数が多い人は一定数いたといい、博報堂の青木雅人常務執行役員は「『こういうつもりだった』と思いと実態の間でギャップがある」と指摘。ギャップが生じている人には仕事や家事が忙しくて疲労が蓄積している人が多く、開錠されている時間帯は帰宅後から夕方の場合が多いため、「夕ご飯の支度にとりかかろうとしている人」などを挙げた。 新サービスでは生活ログの状況を踏まえ、防犯アドバイスも行うという。
ALSOKの宮島裕常務執行役員は「最近は緊縛強盗が増え、体感治安が悪化している。安全が当たり前のくらしを実現したい」と語った。