寺島進が人情味たっぷりで演じた熱血で親しみやすい駐在さんが魅力!「駐在刑事 Season2」
北野武監督の映画「その男、凶暴につき」、「ソナチネ」、「キッズ・リターン」に出演したことで、存在感のある俳優として注目を浴びた寺島進。大ヒットドラマ「踊る大捜査線」に出演して以降は、篠原涼子が刑事を演じた「アンフェア」でヒロインの上司を演じるなど、悪役よりも刑事を演じることが多くなった。2010年~2018年に放送された土曜ワイド劇場の人気シリーズとなった「再捜査刑事・片岡悠介」では、未解決事件を捜査する、人情家で美人に弱い刑事を演じた。そんな寺島が警視庁捜査一課から東京郊外の奥多摩警察署水根駐在所へ赴任した刑事・江波敦史を演じた「駐在刑事」。2014年に放送されて以来、シリーズ化されて現在も続いている人気作だ。 【写真を見る】駐在刑事を演じた寺島進 子供たちから老人まで、町中の人から「駐在さん」と呼ばれて頼りにされている江波は、事件が起きると自転車で全力疾走して現場に駆けつける、熱血で親しみやすい人柄。管轄である水根の住民たちを守ることにいつでも一生懸命で、捜査一課が乗り出す殺人事件では管理官の加倉井(北村有起哉)たちに「早く駐在の仕事に戻れ」とウザがられるものの、納得できずに真相へと迫っていく。 「駐在刑事 Season2」では、老舗旅館の女将・池原美也子(市毛良枝)や山岳ガイドの遼子(笛木優子)など、同シリーズおなじみのレギュラー陣に加え、移動式のパン屋を営む綿谷夏子(田中美里)が新たに出演。奥多摩の美しい自然を背景に奮闘する警察官を演じた寺島の人間くさい演技に注目したい。 ■江波をライバル視する加倉井の沈着冷静な顔が崩れる回も 江波は感情がわかりやすく顔に出るタイプ。シーズン2では、息子を連れて水根に引っ越してきた夏子に一目惚れをするのだが、以降、彼女に会うたびにデレデレ。遼子の父親であり、元水根の駐在員だった兵次(泉谷しげる)が登場する回では、「行くところがない」という兵次の押しの強さに負けて、警視庁のキャリアでバディ的存在の軽部(佐藤寛太)と3人で交番に泊まることになる場面も。 元刑事の勘を働かせて住民を守る一方で、情に弱い下町気質の警官。そんな江波は寺島の持ち味にぴったりのキャラクターだ。殺人事件が起き、容疑者が奥多摩山岳ガイドセンターに夏子とその息子の海人たちを人質にとって立てこもる第3話では、普段は江波を疎ましく思っている加倉井の意外な過去が明らかに――。SITの突入を躊躇う加倉井が、自分の進退を懸けてまで江波に犯人の捜査を任せ、江波も加倉井の決断を尊重する。その男同士の関係性の在り方が胸を打つ。 ■憧れの夏子を巡る事件に江波の心が揺れまくる衝撃の最終回 「夫は亡くなった」と海人にも周りにも伝えていた夏子、しかし、観音滝付近で夏子の元夫の死体が見つかるという事件が発生する。同時に、夏子を訪ねて水根にきた友人・薫(松本若菜)にも不審な点があり、2人は事件の参考人として警察署で聴取を受けることになる。 「最近、お母さんの様子がおかしい」と海人に相談された江波は、自身も動揺する中、警察に直談判。気持ちを察した加倉井が、江波が捜査をすることを禁じるが、江波はショックを押し込めるように「俺は警察官です!」とキッパリ。驚くべき真相が明らかになっていく中、夏子の息子。海人とのやり取りは心に深く刻まれる。寺島の人生経験や飾らない人柄が、愛される駐在さん・江波の演技に繋がっていると思わせられる作品だ。 文=山本弘子
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