セールスフォース、売上高は市場予想上回る-AI戦略に期待感
(ブルームバーグ): CRM(顧客管理)ソフトウエア最大手の米セールスフォースが3日発表した8-10月(第3四半期)決算では、売上高がアナリスト予想を上回った。人工知能(AI)製品に関する大々的な宣伝戦略が奏功し業績を押し上げるとの期待が高まった。株価は時間外取引で一時約10%急伸した。
発表資料によると、8-10月期の売上高は8.3%増の94億4000万ドル(約1兆4100億円)。ブルームバーグが集計したアナリスト予想平均では93億5000万ドルと見込まれていた。収益性の指標とされる調整後営業利益率は33.1%で、アナリスト予想平均の32.2%を上回った。
セールスフォースは今年、AI戦略の軸足を「agent(エージェント) 」と呼ぶツールに移した。顧客サポートや営業開拓などのタスクを人間の監督なしに完了できるように設計したもので、同社は10月、「Agentforce(エージェントフォース)」と名付けた製品を発売。料金はエージェントとの会話1回当たり約2ドルからとした。
エグゼクティブ・バイスプレジデントのマイク・スペンサー氏は決算発表後のインタビューで、「かなりの数」のエージェントフォース関連契約を締結したと述べた。しかし、これらの契約は主に初期展開であり、業績に反映されるには時間がかかると付け加えた。
セールスフォースの株価は今年に入り不安定な動きとなっており、同社にとって過去最低の増収率見通しが嫌気され5月30日には218.01ドルに下落した。その後、新しいAI戦略への楽観的な見通しを追い風に株価は50%余り回復。3日のニューヨーク市場通常取引では331.43ドルで終了し、時間外取引では一時367ドルを付けた。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、アヌラグ・ラナ氏は、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、予想を上回る利益率が今回の決算で際立った数字だと指摘した。