ファッションブランドがなぜ? カフェやレストランを続々オープン
ディオールやプラダ、ラルフローレンなどの高級ブランドに続き、さまざまなファッションブランドが顧客体験の一環として、買い物客に新たな小売サービスを提供しようとしている。最新例はコーチやケイト・スペードを展開するタペストリーで、傘下ブランドと消費者との接点を増やすべく飲食分野に進出した。 なぜファッション小売が飲食業に挑戦するのか。そこにはどのようなメリットがあるのだろうか。 コーチとケイト・スペードがカフェ 中東で卸売事業を拡大させているケイト・スペードは、ブランド支持者との交流や新規顧客の開拓を目的に飲食業に参入した。6月までの3カ月間、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにあるショッピングモール内の高級百貨店ブルーミングデールズでポップアップのカフェを展開する。 「ポップアップカフェでは、ケイト・スペードの新しいライフスタイルのコンセプトを試している。楽しい体験を提供し、ブランドのファンとの感情的なつながりにつなげる」と、ケイト・スペード・ニューヨークのリズ・フレイザー最高経営責任者(CEO)はファッション情報専門サイトのFashionnetwork.comに語った。 カフェでは「ケイト・スペードの喜びの種が散りばめられ、エッセンスが注がれた」飲食物を提供する。例を挙げると「オリジナルのパッケージ、ブランドのトレードマークであるスペードが描かれたコーヒー、ケイト・スペードのヘリテージカラーである緑や黒とクリーム色の縞模様と水玉模様をあしらったスイーツなど」だという。 こうした取り組みは、姉妹ブランドも行っている。コーチは3月にインドネシアの首都ジャカルタにレストランとコーヒーショップを開いた。どちらの店舗もブランド発祥の地である米ニューヨークを意識しており、天井にはNY名物のイエローキャブのレプリカが吊るされ、店内のあちこちにブランドのロゴが飾られている。 専門外でコンセプトづくり なぜこれほど多くのブランドが中核事業のファッションという専門性から飛び出し、飲食分野でのコンセプトづくりに熱心なのか。昨夏、ディオールやジャックムスのような高級ブランドは、フランスのサントロペやイタリアのカプリといった夏の旅行先として人気の欧州のリゾート地に美しいレストランをオープンし、インスタグラムのフィードを賑わせた。ラルフローレンは世界中でコーヒーショップの出店を増やしていることで有名だ。