2023年下半期のGⅠデータまとめ イクイノックスやドウデュースら「最強4歳世代」が躍動
未知の領域へ、日本馬の挑戦は続く
最後に地方、海外のビッグレースについても触れておく。 JpnⅠのジャパンダートダービーを制したのはミックファイア。2001年のトーシンブリザード以来、22年ぶりの無敗の南関3冠を達成した。地方馬として1番人気を背負い、並いる中央馬たちを打ち破ったそのレースぶりは素晴らしかった。御神本騎手とのコンビでこれからの地方競馬、そしてダート界を背負う馬となってほしい。 マイルCS南部杯を勝ったのはレモンポップ。2着イグナイターに大差をつける圧勝で、その勢いそのままに春秋ダートGⅠ制覇を達成した。JBCスプリントは地方馬の星・イグナイター、レディスクラシックは新星・アイコンテーラー、クラシックはキングズソードがそれぞれ勝利。JBCはどの馬もこれがJpnⅠ初制覇であり、世代交代の波を感じさせるJBCデーとなった。 12月29日に東京大賞典が大井競馬場で開催された。少数精鋭の9頭ながら、ドバイWC勝ち馬ウシュバテソーロや、JBCクラシック勝ち馬キングズソード、そして今年無敗で南関東三冠を達成したミックファイアなど豪華メンバーが集結した。 レースは前走チャンピオンズC2着のウィルソンテソーロが逃げ、ミックファイアは中団、ウシュバテソーロは後方から末脚にかける展開で最後の直線に入った。直線ではウィルソンテソーロが逃げ切りを図ったが、外からウシュバテソーロが豪快に差し切り優勝。暮れの大トリを飾るGⅠを見事に勝利した。 今年の海外GⅠへの挑戦はサウジCからスタート。パンサラッサがアメリカの強豪・カントリーグラマーを抑えて逃げ切り、1着賞金約13億円を獲得。ドバイでは、ドバイSCをイクイノックスが圧勝、ドバイWCをウシュバテソーロが制し、日本競馬のレベルの高さが世界中に示された。 今秋、凱旋門賞にはただ1頭スルーセブンシーズが挑戦し、4着に好走。宝塚記念でイクイノックスを追い詰めたのはフロックではないと証明した。良い馬場状態なら日本馬でも戦えること、直行ローテで結果を残したことなど、多くの成果が得られた今年の凱旋門賞だった。今年の有馬記念を制したドウデュースは来年同レースにリベンジする可能性もあり、悲願達成に向け、日本競馬の挑戦はまだまだ続くことになりそうだ。 アメリカのサンタニアパークで開催されたBCデーには、8頭の日本馬が参戦。芝では、ウインマリリンがBCフィリー&メアターフで4着、シャフリヤールがBCターフで3着に好走。そしてダートでは、総大将のウシュバテソーロがBCクラシックで5着に敗れたが、3歳馬のデルマソトガケが2着に好走。ウシュバテソーロの巻き返しや成長著しいデルマソトガケの今後にも期待したい。 年末の香港国際競走では、5年ぶりに日本馬未勝利という結果に終わった。しかし、香港ヴァーズではゼッフィーロが2着、香港マイルではナミュールが3着、香港Cでもヒシイグアスが3着に入り、日本馬の意地を最低限は見せた。 《ライタープロフィール》 東大ホースメンクラブ 約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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