〈コンテナの良さを理解していない日本の物流〉断絶する国際貨物輸送と国内貨物輸送の実態
トレーラーの“箱”としての本質を理解していない日本
2023年8月24日の「世界と比べると日本の『物流2024年問題』の核心が見える」、同年10月5日「国土の狭い日本もトレーラーで物流問題解決可能な理由」、そして同年12月7日「『物流2024年問題』解決策はコストコ日本法人から学べ!」等で繰り返し指摘してきた通り、オンシャーシのコンテナを含むトレーラー輸送が大勢を占める北米のトラック輸送においては、ドライバーは手待ちも荷役もせずに、荷主の戸前あるいは庭先にトレーラーを台切りして置いて行き、以降の荷役作業は全て荷主側の責任で行われる。 トラック運送業者のドライバーは、実入りトレーラーが空になる頃に次の実入りトレーラーを運んできて空トレーラーを引き取り、空トレーラーが実入りになる頃に次の空トレーラーを運んできて実入りトレーラーを引き取る。つまり、北米のトラック輸送のドライバーには、基本的に手待ち時間も荷役時間も発生しないのである。このようなオペレーションは、〝ドロップ&プル〟方式と呼ばれている。
それに対して、日本の状況がどうなっているかご理解頂くために、表1をご覧頂きたい。 上表のトレーラーにはオンシャーシの国際海上コンテナも含まれていると考えられるが、運行数で見たトレーラー輸送の割合(構成比)が8~10%と極めてシェアが小さい。そして、最も注目すべきなのは、トレーラー輸送においても、他のトラック輸送とさほど変わらない手待ち時間や荷役時間が発生していることである。 日本では、“箱”とヘッドを分離することによりドライバーを手待ちや荷役から解放するというトレーラー輸送の本質が理解されておらず、10トン車や11トン車のような単車と同様の運用がおこなわれている。トレーラー本来のメリットが十分に享受されていないのである。 筆者は、荷主や物流企業が“箱”としてのトレーラーの本質を理解も活用もせず、〝ドロップ&プル〟方式を取り込んでこなかったことが日本の貨物輸送の近代化の阻害要因となり、延いては「物流の2024年問題」の主要因のひとつとなっていると考えている。