母の金で続けたAKB推し活「オレの推しに寄生するな」 別メンバーを一方的に憎んだ男の末路
●自分が脅されても「やれるものならやってみろ」
被告人質問では、被害者に対する謝罪の言葉、自身が被った誹謗中傷等について供述していたものの、随所に自身の価値観が垣間見えた。 弁護人「惨殺とか襲撃と書かれた文言、客観的に見てどう思いますか」 被告人「大迷惑、恐いと思います」 弁護人「自分が書かれたら恐いと思いませんか」 被告人「私自身なら、やれるならやってみろと思いますね」 その背景として、被告人自身も掲示板にて多くの誹謗中傷を受けていた。中には「心斎橋で集団リンチして、道頓堀に落とす」などというのもあったという。しかし、これら誹謗中傷も、元は被告人が被害者に対する不満をファンクラブ内でぶつけていた結果だったようだ。 最終的な事件のきっかけは、被告人に投げかけられた誹謗中傷の中で、被告人の家族にまで言及したものがあったためだった。それへの反抗として、ファンの大切な人を傷つける書き込みをするという思いに至った。直接的な加害行動を行うつもりはなかったという。 弁護人「今後、推し活に関してはどう考えていますか」 被告人「費用を抑えながら。関西公演くらいなら」 弁護人「その費用は誰のお金ですか」 被告人「現時点では母ですが、今後はバイトなどで稼いでいきたい」 弁護人「今の段階で続けて問題ないと思ってますか」 被告人「今は続けるべきではないと思っています」
●誹謗中傷から抜けさなかったワケ「逃げたと言われるので」
検察官は事件に至るまでの被告人の考え方をたどるように確認していく。事件以前より、ファンクラブを退会させられ続けたことにも触れていた。 検察官「推し活の中でそれが問題と思えなかったのか」 被告人「やめるべきと思うが、理性でそう思えなかった」 検察官「あのような書き込みで、どうなるか想像できなかったのか」 被告人「未熟な私にはネットの恐さをまだ理解していなかった」 検察官「あなた自身も誹謗中傷されているのに、そういう場から抜け出す気はなかったの」 被告人「逃げたと言われるので」 今では反省のため、SNSをまったく見ていないと主張する被告人。しかし検察官は、現代社会においてネットに一切触れないというのも不可能として、SNSが悪いのでなく自身の特異な考え方にいかに向き合うかという点を繰り返し不安視していた。 懲役6月・執行猶予3年(求刑:懲役6月)の判決を、被告人はどう受け止めただろうか。