〈チロルの中に虫がいた!〉悪質投稿主とチロルチョコの闘い再び…増えるSNSでの異物混入通報、ガセ投稿で風評被害も
チロルVS悪質投稿、過去にも同様の被害
悪質投稿主とチロルチョコとの闘いはこれが初めてではない。 2013年6月にも〈芋虫が混入していた〉という投稿が写真とともに、当時のツイッター上で拡散されたことがあった。 その際もチロルチョコは同日中に公式ツイッターで該当商品について 〈現在、ツイートされている商品は昨年(2012年)の12月25日に最終出荷した商品で、 掲載されている写真から判断しますと30日~40日以内の状態の幼虫と思われます。〉 とコメントし、完全論破。 さらに〈詳しくはこちらのサイトをご覧下さい〉と、日本チョコレート・ココア協会の「よくある質問」ページのURLも添付。「どこで虫が入ってくるのですか?」という質問に関しては、近代的な設備と衛生管理の行き届いた工場で生産されているため、虫の卵や幼虫が入ることは通常なく、ほとんどが工場を出てから家庭で消費される間に侵入されていることを説明。 またチョコレートにつく虫は、「ノシメマダラメイガ」「スジマダラメイガ」などが代表的で、万が一誤って食べても人体に直接の影響がないことも丁寧に説明されていた。 幾度となくこのような悪質投稿の対応に追われるチロルチョコだが、実際のところはどう思っているのか。同社の広報担当者に率直な思いを聞いてみたところ、次のような回答がきた。 「弊社としてはSNSにて、お答えしている範囲の部分までしか お答えができない形となりまして ご希望に沿えず 申し訳ありませんが ご了承頂けますと幸いです。」 電話もなかなか繋がらず、問い合わせが殺到している様子だった。文面からも対応に追われているのか、疲労感がにじみ出ているように感じた。
Xによる異物混入パトローラー、間違えれば刑事責任も
近年は飲食店などで提供された食べ物が腐っていたり、虫やごみなどの異物が混入していた場合、客がSNS上で発信することで、問題が発覚するケースが増えている。 昨年12月には、X上で〈マクドナルドの朝マックで注文したマフィンの中から(ネジの締結部分である)「ナット」が出てきた〉という旨の文面を写真付きで投稿。瞬く間に拡散され、マクドナルドが謝罪に追い込まれる事態にまで発展した。 またマクドナルドに関しては、昨年3月にゴキブリが、昨年12月にも虫が混入していたことが物議をかましていたが、いずれも発覚の発端は、X上の投稿だった。 さらに〈タレ瓶の中に虫〉という動画の投稿により、餃子の王将が卓上の調味料を撤去するに至ったケースもあった。 投稿により指摘された飲食店側は、風評被害や経済的損失はまぬかれない。 しかし、その一方で、今回のような悪質なイタズラ投稿があることも近年、問題視されている。良かれと思って投稿したとしても、内容が誤っていた場合は、名誉棄損罪や業務妨害罪など法的措置が取られ、投稿主に刑事責任が生じる事態にもなりかねない。 SNS利用者はそのことを肝に銘じるとともに、企業側も〝まさか〟の悪質投稿への迅速な対応を心がけていくべきだろう。 取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部
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