ブラームスの優しさがにじみ出るような、美しく儚い「間奏曲」の数々【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
ブラームス『3つの間奏曲 op.117』 ブラームスの優しさがにじみ出るような小品たち
今日4月3日は、ドイツ・ロマン派の作曲家ブラームス(1833~97)の命日です。 ブラームスが活躍したロマン派の時代は、音楽家が教会や王侯貴族に雇われることなく、自立して生きていける時代の幕開けでした。そしてブラームスこそは、自分の作品の売り上げだけで金持ちになった最初の作曲家といわれています。 また稼いだお金を恩人であるクララ・シューマン(1819~96)への援助に使ったほか、家族や親戚を始め、若い音楽家や慈善団体にもかなりの金額を寄付しているのです。変わっているのは、そのことを人に知られたくなかったということ。これは、シャイなブラームスの一面を知る素敵な逸話に違いありません。 そのブラームスが手がけた「間奏曲」の数々は、その美しさと儚さによって今も多くのピアノファンを魅了しています。『3つの間奏曲 op.117』の初演は1893年 、『6つの小品 op.118』は、1894年に行われ、ともに60歳を過ぎたブラームスの枯淡の境地が感じられる名作です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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