NATO、バルト三国の領空警備20周年
NATO(北大西洋条約機構)によるバルト三国の領空警備が20周年を迎えた。2004年にエストニア、ラトビア、リトアニアがNATOに加盟し、NATO初の戦闘機であるベルギーのF-16がリトアニアのシャウレイ基地に着陸した同年3月29日から即応警備任務が始まった。 バルト三国がNATOに加盟後、空域はNATO空域に統合。NATINAMDS(NATO Integrated Air and Missile Defence System:NATO統合防空ミサイル防衛システム)の下、ドイツの統合航空作戦センター・ウエーデムが任務を主導し、加盟17カ国が交代で戦闘機の分遣隊をリトアニアのシャウレイに展開してきた。ロシアによるクリミア併合を受け、2014年からはエストニアのエマリを第2の基地とし、バルト三国の領空を守り続けている。 リトアニアは、これまでに64回連続で連合軍の戦闘機ローテーションを受け入れ、NATOの領空防衛と抑止力を提供してきた。今年3月から11月までは、NATO連合軍機はラトビアのリエルバルデ空軍基地を拠点として任務にあたる。 NATO連合空軍司令官のジェームズ・ヘッカー米空軍大将は4月18日、「NATO連合国に囲まれているバルト海の上空を飛ぶ連合国戦闘機は、75年にわたるNATO同盟の象徴である。集団安全保障を確保し、加盟32カ国の10億人のために安定と平和を促進する組織のサクセスストーリーだ」とコメントした。 ロシアがウクライナへ2022年2月に侵攻後、NATOにフィンランドが2023年4月4日、スウェーデンが今年3月7日に正式加盟し、加盟国は32カ国となった。スウェーデンの加盟により、バルト海が加盟国で囲まれる形となった。
Tadayuki YOSHIKAWA