UDの大型トラック「クオン」7速マニュアル車が2025年春からいすゞ製に! どのようなクルマになるのか?
現行型をほぼ踏襲する車型ラインナップ
具体的には、カーゴ用シャシーに3軸6×4駆動のCW(車両総重量20/22/25トン)、3軸6×2駆動のCD(車両総重量20/22/23/25トン)、低床4軸8×4駆動のCG(車両総重量21/23/25トン)、低床3軸6×4駆動のCX(車両総重量22/23.5トン)、ダンプ用シャシーにCW(車両総重量20/22トン)、CD(車両総重量20/22トン)、ミキサー車用シャシーにCW(車両総重量20トン)を設定する。 これらのシャシーには、さらにホイールベース、サスペンションなどのバリエーションが存在するのだが、一部マイナー仕様は380PSモデルへの集約、またはUD上尾工場製12速AMT車への統合、あるいは廃止をそれぞれ行なった。逆にカーゴ用CXシャシーの車両総重量22トンモデルには、現行型にはないホイールベースが新設されてもいる。 例外は、凍結防止剤散布で用いられる除雪車専用CWシャシーの7速M/T車で、こちらは総輪駆動車とともに上尾生産モデルを継続する。また、カーゴ用およびダンプ用CWシャシーの高出力420PSエンジン+12速M/Tも上尾生産モデルで、単車型のマニュアル車すべてがいすゞ製シャシーになっているわけではない。 また、タンクローリ用シャシーとして展開している前2軸6×2車型(CV)では、いすゞ製シャシーに移行せずに7速M/T車の設定自体を廃止して、上尾生産モデルの12速AMTに集約するようだ。 そのほかギガ7速M/T車には、4×2駆動車型やショートキャブ(ベッドレス)も展開しているものの、これらは現行型クオン7速M/T車で展開のないバリエーションのため設定がなく、さらにギガ6×2車型カーゴ用シャシーの360PSマニュアル車は9速M/Tだが、これもUDブランドでは省かれている。
即納タイプ完成車「パーフェクトクオン」をダンプに設定
上モノ(架装ボディ)付モデルを見込み生産で在庫する、いわゆる即納タイプの完成車「パーフェクトクオン」では、大型マニュアル車の売れ筋用途であるダンプを設定する。 7速M/Tダンプ完成車では、現行型および12速AMT車と同じく、架装メーカーとして新明和工業と極東開発工業の2社を設定する。ベッセルの材質(新明和・国産耐摩耗鋼板、極東・HARDOX)や板厚の設定も同様である。これは、ギガでも設定しているダンプ完成車(架装メーカーも同じ)とは異なっていて、UD独自の仕様となっている。 パーフェクトクオンの売れ筋にはカーゴ系のウイング車もあるが、7速M/T車でのラインナップを見送っているのは、カーゴ系でのAMT比率が高くなっているためとみられる。 近年トラックメーカーでは、大型トラックにおける運転疲労軽減、燃費改善のための多段ギヤ化、先進運転支援システム(ADAS)の機能充実などを目的に、2ペダルでも運転可能な12速AMT(電子制御機械式自動変速機)への移行を進めている。特にUDのESCOT-VI(エスコット-6)は、市場評価の高い12速AMTとして知られており、クオンのAMT比率も高い。 そのいっぽうで、信頼性の高いマニュアル車に対するニーズも依然として大きいわけで、今回のクオン7速M/T車は、いすゞ・UDトラックスが相互にリソースを活用しあい、ラインナップ維持と効率化を両立したものといえる。