実は「日本バレーボール協会」評議員! 平野ノラが語る『ハイキュー!!』とバレーボールの魅力
――作中で好きなシーンはどこでしょう? 平野 インターハイ予選で烏野が常波に勝った後のモノローグで、「これが物語(フィクション)だとしたら 全国へ行く奴らが主役で 俺達は脇役(エキストラ)みたいな感じだろうか それでも 俺達もやったよ バレーボール やってたよ」というシーンが一番好きですね。バレーボール経験者もそうでない人も、多くの人に刺さるシーンだと思います。 漫画で描かれていない部分でひっそり敗退するような人たちもいて、でもみんなバレーボールをやってるんです。勝てなかったけど、3年間バレーボールをやってきた自負がある。そういう部分をちゃんと描いて映し出したところに、作者の古舘春一先生の深いバレーボール愛を感じました。 『ハイキュー!!』に私は出てきませんし、才能のあるキャラクターと被る部分もないんですけど、実際にバレーボールを「やってたよ」っていう実感はあるし、このシーンを見て「自分もこういうところにいた」って思えた。だから、『ハイキュー!!』は私のストーリーでもあるんです。作中には他にも印象的な場面はいっぱいありますが、やっぱりここが一番好きです。 試合だと、稲荷崎高校戦で、宮兄弟(侑/治)が烏野のマッチポイントで双子速攻のバックアタックを日向と影山にブロックされるシーンが好きですね。「速攻が無敵じゃない」ということを知っているからこそ、双子速攻を日向と影山がブロックできたと思うんです。変人速攻を止められた2人が双子速攻を止めるという展開が激アツで。 また稲荷崎が負けた後の第一声も「燥(はしゃ)ぎすぎたなあ 侑(ツム)」「...せやな 治(サム)」って。そんなセリフ、なかなか言えないですよ。 ――以前、ブログなどで作中のセリフを引用されていましたが、お気に入りのセリフはありますか? 平野 自分もリベロだったので、西谷(夕/烏野高校)のセリフは結構好きですね。角川学園戦の「空中戦だけがバレーボールじゃないぜ 翔陽」とか、伊達工戦の「背中は俺が護ってやるぜ」とか。メチャクチャ男前でカッコいいですよね。白鳥沢戦の「――3本下さい 必ず慣れてみせる」とか、私だったらとても言えないです(笑)。あんな選手が実際にいたら、みんな惚れちゃいますよ。 ――作中のエピソードで、ご自身のバレー経験と重なる部分はありますか? 平野 私個人というかチームの話なんですが、稲荷崎戦で日向がゆっくり高いトスをするシーンは、似たようなシチュエーションがあったんです。本当に忘れがちな、高くて、取りやすくて優しいボールを上げる。私も実際に味方の選手にそういうチャンスボールを上げて、場を整えたこともありますし、チームメイトにそういう指示をしたこともあります。本当にただのファーストタッチなんですけど、「いいなあ...!」って思いました。味方にも教えられるという、チームスポーツのいい部分ですよね。