プロ4年目の桑木志帆の喜び爆発、逆転で悲願初V 昨年は同大会プレーオフで敗れ号泣
<国内女子ゴルフツアー:資生堂レディース>◇最終日◇30日◇神奈川・戸塚CC西C(6697ヤード、パー72)◇賞金総額1億2000万円(優勝2160万円) プロ4年目の桑木志帆(21=大和ハウス工業)が、逃し続けていた初優勝をついに手にした。 首位と1打差の2位から出て、4バーディー、1ボギーの69と3つ伸ばし、通算11アンダー、205。首位から出て同じ最終組で回った堀琴音を逆転した。初めて首位で最終日を迎えたのが、昨年の今大会だったが、プレーオフの末に桜井心那に敗れ、号泣していた。その後も何度も迫っては逃し続けていた初優勝を、ついにつかんだ。 前半は2番パー5で、3メートルのバーディーパットはカップの左ふちを伝い、クルリと1回転してこぼれた。桑木は苦笑いこそ浮かべたが、気落ちした様子は見せなかった。「イライラしない」「焦らない」。何度も惜敗を経験し、冷静さを失いそうになった時こそ、そう自分に言い聞かせるようにしていた。すると5番パー3でバーディーが先行。12メートルのパットを決めたが冷静に、ファンの歓声に応じた。これで首位の堀琴に追いついた。 6番で堀琴が、最初のバーディーを奪って再び1打差の2位に後退した。8番パー3では、2人そろってボギー。停滞ムードが漂いかけた、直後の9番パー4で会心のパットを決めた。下りの難しい15メートルを沈めると、思わず右手を握り締めた。このホールで対照的に、堀琴がボギーとして左手で顔を覆うと、一気に逆転。単独トップで後半に突入した。 後半も堀琴との激しい優勝争いは続いた。12番パー4ではそろってバーディー。その後、15番パー4で堀琴が3つ目のバーディーを奪って並ばれた。それでも16番パー5で第3打を1メートルにつけて4つ目のバーディー。再び単独トップに立つと、そのまま影を踏ませずに制した。 4歳でゴルフを始めて以来、常にそばには父正利さん(66)がいた。それが昨夏、ツアー会場で倒れ、緊急入院ということが起きた。翌週には退院したが、父への恩返しの思いは一段と強まっていた。常々「1番いい形で恩返しできたら」と、初優勝で喜びを分かち合いたい胸の内を語っていた。ようやくそれを果たし、昨年プレーオフの末に敗れた18番のグリーン上で、今年は喜びを爆発させた。