【ドイツ時計の新世代ブランド】グラスヒュッテで創設された新鋭“カリニッヒ・クライス”に注目
KALLINICH CLAEYS(カリニッヒ・クライス)は時計師のヨハネス・カリニッヒとティボー・クライスにより2022年にドイツのグラスヒュッテで設立された、日本未上陸の独立系マイクロウオッチブランドである。 【KALLINICH CLAEYS(カリニッヒ・クライス)の時計をもっと見る】 ヨハネスはドイツにおける時計産業の中心地として知られるグラスヒュッテで時計製造の訓練を受けた後、2013年からA.ランゲ&ゾーネで時計師としてのキャリアをスタートする。“サクソニア”の組み立てを担当したのち、3年後には“ランゲ1”の部門長となるが、ヨハネスはその後も時計師として新しい経験を積みたいと考え、5年後に同社のクロノグラフ部門に入社。さらにマスター・ウォッチメーカーとなる訓練を受けた後、2021年にその称号を授与された。
もうひとりの創設者であるティボーはベルギー第二の都市であるアントワープで時計製作を学んだ後、A.ランゲ&ゾーネに入社し、“1815”の製造部門で時計の組み立て担当としてキャリアを積み重ねた後、マスター・ウォッチメーカーとなる訓練の際にヨハネスと出会うことになる。 当初は、単なる職場の友人であった両者だが、A.ランゲ&ゾーネを辞めたことをきっかけに、二人の時計製造の才能が融合し、カリニッヒ・クライスが創設されたのだ。
カリニッヒ・クライスは2024年1月現在、アインザー・セントラル・セコンド、アインザーセントラル・セコンド ”ファウンダーズ・エディション”、アインザー・セントラル・セコンド "香港エディション"と、三つのモデルをウェブサイトで販売している。 いずれも基本デザイン、搭載機能、ムーヴメントは共通の仕様を採用している。文字盤は、外側にモダンなミニッツトラック、内側にローマ数字と直線的な一本線のインデックスを配した“グラン・フー”エナメルのチャプターリングを備え、その内側に装飾を施した文字盤、さらに内側にトレブラージュ仕上げ(梨地のような独特の質感をもつ)を施した円形の中央セクションをもつ。 繊細さと剛性を兼ね備えた針はポリッシュ仕上げの面取りとラインカットを施しており、文字盤と同様に手作業で製作されている。
ムーヴメントは自社でゼロから設計、製造されたKC001.1 を搭載。ゼンマイや脱進機など一部のパーツを除き、ジャーマンシルバーのプレート、ネジ、ゴールドシャトンなども創業者のヨハネスとティボーが手作業で仕上げており、グラスヒュッテ伝統の仕様とモダンでスポーティな設計を融合させた作りに、カリニッヒ・クライスならではの美意識が感じられる。 カリニッヒ・クライスのウェブサイトで直接購入することができるようだが、価格は希望者のみに開示されるので、ご興味のある方はコンタクトしてみてはいかがだろうか。
文◎William Hunnicutt