《ブラジル》BYD工場建設で雇用1万人と発表=30万台生産、価格低下に期待
中国自動車メーカーのBYDが55億レアルを投じてブラジル北東部バイア州に建設中の工場は年末に完成見込みで、1万人の雇用を創出し、将来的には年間30万台の電気自動車を生産する計画だ。これによりブラジルでの電気自動車の価格が下がり、一般消費者にも手の届く範囲になることが期待されていると29日付テラ・サイトが報じた。同社は22年6月にテスラを抜き、世界最大の電動車両メーカーとなった。 28日にサンパウロ市で開催された「モビリティ・サミット2024」でBYDブラジルのアレシャンドレ・バルディ特別顧問は、国内生産・販売プロジェクトの第1段階では雇用創出に影響を与え、需要に対応するために1万人の労働者が雇用される予定だと発表した。 ブラジルへの55億レアルの投資により、年間15万台のハイブリッド車と電気自動車を供給できる能力を持ち、これは工場のフル生産が2025年に開始されることによって達成される予定だ。 バルディ氏は「ブラジル国内のディーラー数は100店舗に達し、24年には200店舗を目指す。工場のフル生産開始後の第一段階で15万台を生産し、そのすべてを国内向けとし、第二段階では30万台まで増やして、ブラジル、南米、そしてラテンアメリカ市場にまで視野を広げる計画だ」と説明する。 ハイブリッドカーや電気自動車はまだ高級品とみなされているが、国内生産によりBYD車の価格は大衆車に近づく傾向にあるという。同氏は「ブラジルの消費者から見れば、BYDは自動車業界で最も革新的で技術的なものを、より手軽な価格で提供するという革命を起こした。ブラジルに進出して以来、電気自動車は多くのブラジル人にとって現実のものとなっている」と述べた。 BYDの最も手頃なモデルは「ドルフィン・ミニ」で、11万5800レアル(約350万円)で販売されている。ブラジルでは、ルノーのKwidE―Techの9万9900レアル(約302万円)に次いで2番目に安い電気自動車だ。 28日付エザミ誌によると、ブラジルがベルギーを抜き、中国の電気自動車とハイブリッド車の最大輸出市場になったという。4月には前年同月比13倍増の4万163台を記録した。この大幅な増加には、南米諸国が自国での自動車生産を奨励するため、7月から同車種の輸入関税引き上げが迫る中でのことだったが、中国の自動車メーカーは近年成長著しいブラジルの電気自動車市場に積極的に参入していることがうかがえる。 現在、ブラジル内で電気自動車とハイブリッド車を生産している最大手はトヨタであり、2013年に輸入を開始し、19年からは国内でも生産を開始した。現在、電動車の生産比率を20%に引き上げ、2030年までに110億レアルを投資して生産拡大と中南米への輸出を計画している。 トヨタとBYDの両社とも、ブラジルでの電動化車両の生産を加速させ、最終消費者のコストを削減するための公共政策のインセンティブの重要性を強調した。