「侍タイムスリッパー」異例の大ヒット「今も浮足立っている」…兼業農家の安田淳一監督「また笑いに包まれる作品を」
そのため、今作は稲刈りの時期を避けて撮影に臨んだ。公開後も、田んぼの苗を食い荒らす「ジャンボタニシ」に悩まされながら、プロモーションの合間を縫って農作業をこなした。
そんな苦労の末に生まれた異例のヒット。貯金や愛車を売却した金で約2600万円の制作費を捻出したが、「この黒字で数年間は安心してお米を作っていける」と笑顔を見せる。
二足のわらじ、これからも
今作では優れた新人監督に贈られる「新藤兼人賞」の銀賞を受賞した。「色々な人の助けと運があってできた作品。様々な映画会社の人から声をかけられ、今も夢のような、浮足立っている感覚」と喜びを語る。
今後については、「黒沢監督のような家族で楽しめるダイナミックな娯楽作品をつくってみたい。自分がプロデュースで関わる作品も面白いと思う」と様々な展望を描く。
「やっぱりお客さんに喜んでもらえるものというのが根本にある。また、会場が笑いに包まれるような作品を撮りたい。もちろん、農家もちゃんとやりつつね」。二足のわらじを履きながら、遅咲きでも挑戦を続ける。