「実家の片付け」で親とモメないための大鉄則
そうした親世代の繊細な気持ちに十分配慮しながら、片付けを進めるのが肝心だ。 ■言葉のかけ方も重要 親への配慮という面では、言葉のかけ方も重要だ。下図に親に言ってはいけない「NGワード」と「言い換え例」を示した。 渡部氏によると、物に対する価値観の違いから、子どもは「何でこんな物を取っておくの!」と、どうしてもきつい言い方になりがちだという。片付けをめぐるやり取りで、親子の立場が逆転するようになるのが、親としてはかなりつらく、口論などのトラブルにつながってしまう。
■子が親をよりよく理解する機会 片付けを円滑にする最強ワードは、「ついでに〇〇しようか」と「これ、なぁに?」の2つだ。 例えば、廊下に何年も置いてある段ボール箱を見て、思わず「捨てなよ」と口にしそうになっても、否定的な言葉はぐっとのみ込もう。「これってなぁに?」と親に優しく尋ねれば、「それは〇〇さんにもらった物だよ」などと、経緯を説明してくれるはずだ。そうした会話をする中で、親としても「さすがに要らないかな」と、手放す気持ちが生まれてくることも多い。
渡部氏は、「実家の片付けとは単に物を処分したり、整理したりすることではない」と話す。 実家にある物を介して親子でコミュニケーションを取り、子が親をよりよく理解する機会と捉えるべきなのだという。片付けを通じて親の身体的、心理的な変化に気づくことができれば、介護や病気などについて早期に手を打つことにもつながってくる。
中村 正毅 :東洋経済 記者