【最新:米国の金融・経済の見通し】2024年「米経済」はソフトランディングへ 利下げ想定ナシで「米国株の上昇余地は大きい」とみる(ストラテジストが解説)
※本稿は、チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。
●2024年の米経済はソフトランディングへ、失業率は上昇し、物価の伸びも一段と鈍化する見通し。 ●利上げは終了とみるが、失業率上昇やインフレ鈍化は緩やかなものとなり、来年利下げは見送りへ。 ●長期金利低下とドル安の度合いも総じて緩やかに、米国株には好ましい環境のため上昇余地大。
2024年の米経済はソフトランディングへ、失業率は上昇し、物価の伸びも一段と鈍化する見通し
今回のレポートでは、米国のマクロ経済と金融政策および長期金利の行方を展望し、米ドルや米国株への影響について考えます。はじめに、米国のマクロ経済について、弊社は利上げの累積効果が顕在化することで、成長ペースは徐々に鈍化していくとみています。実質GDP成長率の具体的な予想値は図表1の通りですが、マイナス成長は見込んでおらず、米国経済の軟着陸(ソフトランディング)を想定しています。 成長ペースの鈍化に伴い、失業率も上昇するとみていますが、マイナス成長が回避されるなかでは、労働市場が急速に悪化する公算は小さいと考えます。一方、物価の伸びについては、この先も低下傾向が続き、米連邦準備制度理事会(FRB)が注視している個人消費支出(PCE)物価指数は、総合指数、コア指数(食品とエネルギーを除く指数)とも、2024年1-3月期に前年同期比の伸び率が3%を割り込む見通しです。
利上げは終了とみるが、失業率上昇やインフレ鈍化は緩やかなものとなり、来年利下げは見送りへ
次に、金融政策について考えます。前述の通り、米経済が減速するなかで、失業率の上昇と、物価の伸びの鈍化が確認される限りにおいては、追加的な利上げの必要性は低下することになります。ただ、図表1の通り、弊社は2024年の失業率について、7-9月期は4.0%、10-12月期は4.1%と、極端な悪化は見込んでおらず、PCEの前期比伸び率も、各四半期で2%台後半を予想しています。 つまり、弊社は米国のインフレ率が来年2%近辺まで低下するには至らないと考えており、FRBは利下げの判断を2024年いっぱい見送る可能性が高いと予想しています。なお、フェデラルファンド(FF)金利先物市場に目を向けると、11月20日時点で2024年は4回近い25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが織り込まれており(図表2)、弊社の見方は市場よりもかなりタカ派的です。
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