女子ボクシング性別騒動にIOCバッハ会長も意見 誹謗中傷を受ける2選手を擁護「女性として疑う余地はない」【パリ五輪】
パリ五輪の女子ボクシングに参戦中の2選手を巡って大論争が起きている。 騒動の渦中にいるのは、女子66キロ級と同57キロ級にそれぞれ参戦しているイマネ・ケリフ(アルジェリア)とリン・ユーチン(台湾)だ。2人は昨年の世界選手権前に国際ボクシング連盟(IBA)の実施した性別適格性検査で「XY染色体を持っている」とされて失格。出場権も剥奪されていたため、パリ五輪の参加が疑問視されている。 【動画】顔面がボコボコに…ケリフがメキシコ人選手にRSC勝ちしたシーン ともに大会初戦を制し、準々決勝に進出。ケリフは現地時間8月3日に行われたアンナ・ルツァ・ハモリ(ハンガリー)戦でも判定勝ちを収め、銅メダル以上を確定させた。二人は見事な活躍を続けているが、先述の経緯から世界的に波紋が広がる。そして一部の識者やメディアからは誹謗中傷が相次ぐ異様な事態となっている。 そうした中で参加を認めた国際オリンピック連盟(IOC)の“御大”が事態の収拾に動いた。現地時間8月2日の定例会見で同連盟のトーマス・バッハ会長は「ハッキリさせておきたいことがある。女子ボクシングについてだ」と切り出し、「女性として生まれた2人のボクサーがいる。彼女たちは女性として育てられ、女性としてのパスポートを持っている」と強調。ケリフとリン・ユーチンを擁護した。 「2人は何年もの間、女性として競技に出場してきた。これは女性としての明らかな定義だ。彼女たちは女性として疑う余地はない。ある人々は女性としての定義を自分自身で持ちたがっているようだが、これは科学的な根拠に基づいたものである。どうして女性として生まれ、育てられ、競技に出場し、パスポートを持つ女性を、女性と認められないというのか」 幾度となく女性というワードを繰り返し、IOCの判断を強調し続けたバッハ会長は、ケリフとリン・ユーチンに向けられる誹謗中傷にも異を唱えている。 「また、この問題に関してSNS等で行われているヘイトスピーチや攻撃は到底受け入れられるものではないと言わせていただく。何かあれば、私たちは意見を聞いたり、調査する準備はできている。だが、我々は政治的動機による文化的な争いには関与しない」 物議を醸している論争に対して、断固たる姿勢を貫いたIOC。今回の声明発表を受け、ケリフとリン・ユーチンに対する世間の“逆風”は収まるだろうか。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]