多くの自閉症の人々にとってゴルフは理想的なスポーツだと認知され、アーニー・エルスも後押し。
近年、多くの自閉症の人々にとってゴルフが理想的なスポーツであることが認知されている。広大な緑を背景にリズミカルなスウィングを繰り返すことは自閉症の人々に安らぎを与え、心を落ち着かせる効果があることがわかってきたのだ。
ゴルフはルーティンと繰り返し動作を行う反復性が重視されるが、多くの自閉症の人々にとってこういった反復動作は、混沌とした世界における“安らぎの源”となるという。 他のスポーツと比べ、比較的ゆっくりしたペースでプレーできるゴルフは、スピードに付いていくことが難しい自閉症の人々にとっては心地良いと言われる。 ゴルフと自閉症のつながりをもっとも端的に語ることができる人物は、メジャー4勝のアーニー・エルスだ。あのタイガー・ウッズですら羨やんだという美しいスウィングの持ち主は、長男(第2子)が成長するとともに、ある違和感を感じた。 「長女は2歳にならないうちにおしゃべりを始めたのに、長男のベンは全くしゃべらない。最初は男の子だから遅いのかと思ったけれど、4歳になっても5歳になっても言葉が出ない。検査で自閉症だということがわかったのです」 やがてエルスは「自閉症は語る」という一文をキャディバッグに刻み、2009年には自閉症財団を設立。多額の資金を調達しながら『エルス自閉症ゴルフチャレンジ』を主催し、ゴルフが自閉症の人々にもたらす効果と認知度を高めてきた。 アメリカで最初に自閉症と診断されたドナルド・トリプレット氏は、ゴルフによって慰めと喜びを見出したパイオニアだ。自閉症がほとんど理解されなかった時代にゴルフに打ち込み、類まれなる集中力を発揮。社交スキルを身につけ、昨年、89歳で他界するまで、このスポーツが充実感をもたらすことを、身をもって示した人物。 ゴルフは人生を豊かにする。それは自閉症の人々にとっても同様だ。 ※週刊ゴルフダイジェスト11月26日号「バックナイン」より
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