欧州議会選「緑の党」に逆風、環境ブーム冷え込み EV政策に影響も
欧州連合(EU)で9日開票された欧州議会選では、独仏2大国を含めて各国の緑の党が議席を減らす見込みとなり、環境政党の退潮があらわになった。電気自動車(EV)や再生可能エネルギーへの転換をめぐるEU環境規制に影響を与える可能性がある。 EUが発表した暫定結果によると、欧州議会の環境会派「緑の党・欧州自由連盟」は今回、53議席を獲得する見込み。改選前は71議席を保有する第4会派だったが、第6会派に転落しそうだ。環境会派は、地球温暖化対策による経済成長を掲げたEU戦略「欧州グリーンディール」(2019年発表)を推進してきた。 ドイツ緑の党の予想得票率は、独公共放送の調査で12%。19年の前回欧州議会選(21%)に比べ、大きく落ち込んだ。緑の党はショルツ独政権の第2与党で、EUの環境政党をリードしてきた。だが、ロシアのウクライナ侵略でEUのエネルギー価格が高騰し、逆風に直面。物価高が庶民生活を直撃する中、化石燃料を使う暖房の新設禁止を掲げ、大きな反発を受けた。 フランスの緑の党の予想得票率は6%。19年の前回選挙(13%)から下落しそうだ。フランスでは環境保護団体が農業用のため池設置や道路建設などに反対し、警察と衝突する激しい抗議デモが相次いだ。また、農業団体にはEUの厳しい環境規制への反発が強く、今年初めには道路をトラクターで封鎖する抗議運動が全国に広がった。スウェーデンでは緑の党が、前回並みの得票率を維持する見通し。