【大分】194キロ死亡事故 過失か危険運転か 5日初公判
大分朝日放送
時速194キロで直進してきた車と右折車が衝突する事故が大分市の県道で起きました。 その事故でこちらの男性を死亡させたとして罪に問われている男の裁判員裁判が5日から始まります。 「過失運転」か「危険運転」か裁判の争点です。 2021年2月、大分市大在の県道で当時19歳の少年が運転する車と交差点を右折しようとした車が衝突し当時50歳の男性が亡くなりました。 少年は、事故から約5カ月後に過失運転致死の罪で起訴されましたが「時速194キロという重大な交通の危険を生じさせる速度で直進した」などとして大分地検が危険運転致死罪に切り替えるよう請求。 2022年12月、大分地裁がこれを認めました。 このため審理も裁判員裁判に。 裁判官、検察官、弁護士が争点を協議する公判前整理手続きが2023年12月以降16回行われていました。 今回の事故は「過失」か「危険運転」か5日から始まる裁判の争点について詳しくお伝えします。 注目の裁判がいよいよ5日から始まります。 裁判の最大の争点は、どちらの罪が成立するかということです。 まず、被告が最初に起訴された過失運転致死罪は注意不足で事故を起こし人を死亡させた場合で懲役は最長7年です。 一方、遺族らの署名活動もあって、2022年12月に変更が認められた危険運転致死罪は危険な状態で運転をして人を死なせた場合で最長懲役20年となり、過失犯か、いわゆる故意犯かで量刑にこれだけの差があります。 全国でも危険運転致死罪にあたるかどうかの裁判が開かれていますが、成立には壁もあります。 検察側は「194キロは車の進行を制御することが困難な高速度だった」と主張する見込みですが、高速度といっても危険運転致死罪の中には具体的な速度の定義はありません。 法定速度の3倍ほどの150キロ近くで走行していても「危険運転」と認められなかったケースもありました。 そしてもう1つ検察側は、今回は妨害運転にあたるとみています。 事故は、被害者の男性が交差点を右折しようとしていたところ、時速194キロで直進してきた被告が運転する車とぶつかりました。 右折を妨害するほどの運転だったかどうかも大きなポイントです。 どちらかが立証されるかどうかが過失運転か危険運転にあたるのかの判断材料になります。 刑事事件に詳しい福岡大学法学部の小佐井良太教授は「まさか194キロという高速度で来るとは思わない。走る凶器としか言えない事案」だと言います。 被告の弁護側は「危険運転にはあたらない」と主張する見込みで、検察側も危険運転致死罪が認められなかったことを想定して、過失運転致死罪も予備的訴因として起訴内容に含んでいます。 注目の裁判はいよいよ5日初公判です。