【パリ五輪あと50日】男子サッカー・藤田譲瑠チマ フィールドで抜群の存在感で/球技注目選手
7月26日のパリ・オリンピック(五輪)開幕まで、6日で50日前となった。各競技で続々と代表内定選手が発表される中、注目を集めるのが団体球技だ。日本は全7競技で出場権を獲得。自国開催を除けば1932年ロサンゼルス五輪以来、92年ぶりの快挙となる。現時点で五輪切符を得た各競技の注目選手を紹介するとともに、全ての団体球技出場につながった背景をひもとく。 ◇ ◇ ◇ 8大会連続12回目・男子サッカー 藤田譲瑠チマ(22=シントトロイデン) チームをピッチ内外で支える主将だ。パリ五輪アジア最終予選兼U-23アジア杯カタール大会では、明るいキャラクターを生かしたキャプテンシーでチームをまとめあげた。1次リーグ第3戦の韓国戦に敗れると、選手だけのミーティング開催を提案。思いを伝えて一体感を高めた。ベンチにいても、特徴的な甲高い声を響かせて鼓舞する姿が印象深い。 フィールドでの存在感は抜群だ。すでにA代表デビューを果たすなど、実力は申し分ない。中盤の底で相手の攻撃を刈り取り、味方に確実につなぐ。ビルドアップでは効果的なポジショニングでパスコースの出口となり、円滑なボール回しを生み出す。 機を見た攻撃参加がその魅力をより引き立たせる。スルスルとドリブルで持ち上がってズバッとラストパスを通す。アジア最終予選では、パリ切符が懸かった準決勝イラク戦で2アシストを記録。決勝のウズベキスタン戦でも後半追加タイムの劇的決勝弾の「アシストのアシスト」を決めた。文句なしの大会MVP。アジア王者として乗り込むパリでは「全勝を目指して、優勝を目指してやるだけ」と頂点しか見据えていない。【佐藤成】 ◆藤田譲瑠チマ(ふじた・じょえる・ちま)2002年(平14)2月26日、東京都生まれ。ナイジェリア出身の父と日本人の母を持つ。東京Vの下部組織で育ち、20年にトップ昇格を果たした。徳島、横浜を経て昨夏シントトロイデンへ移籍。175センチ、76キロ。 <展望>前回大会準優勝のスペインが金メダル獲得に燃える。決勝で敗れたブラジルと銅メダルのメキシコは予選で敗退しており、頭1つ抜けている。前回4位の日本は過去3大会で2度の4強入りと安定感は抜群。アジア王者として十分にメダル候補といえる。