山奥の滝行で思考のノイズを除去:中山亮太郎の「ビジネス夜明け前」
強制的に思考がストップする感覚
■強制的に思考がストップする感覚 頭のてっぺんで落水を受けると首をけがする恐れがあるとのことで、アドバイスに従い、首の付け根のあたりで滝を受けた。その日は水量が普段よりも多めだったらしく、予想以上の水圧と極寒の水が首元に打ち続き、足元からはとんでもない冷たさが押し寄せた。脳細胞のすべてはこの滝の水流に耐えることに振り切られ、頭は強制的にほかに何も考えられないくらい空っぽな状態に追いやられた。 情けないことに私は数十秒しか続けられなかったが、終わったあとのスッキリとした感覚は、サウナでいう「ととのう」とは違う、別の境地だった。滝行はあくまで修行ではあるものの、実際にやってみた私が最初に抱いた感覚は、これまで得たことのない頭のスッキリ感だった。その翌月も別の場所で滝行に臨んだほどだ。 サウナやマインドフルネスの効果が知られるようになったことで、日常生活に思考のノイズを取り除くためのルーティンをどう取り入れるかという課題は、多くのビジネスパーソンがもっていると思う。止まることなく走り続けなければいけないビジネスライフにおいて、インプットだけでなく、時に思考を止めてクリアにするための行動はとても大切だ。滝行に限らず、今後もいろいろな手法がクローズアップされるだろう。自分にあったものを見つけることができるといい。 なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。
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